流通ジャーナリストの金子哲雄(かねこ・てつお)さんが2日午前1時18分、肺カルチノイドのため、都内の自宅で死去した。41歳だった。関係者によると、約1年前から腫瘍の一種、カルチノイドが肺に見つかり、治療を続けてきたが、有効な治療法がない状態だったという。1カ月前から容体が急変。入退院を繰り返していたが、妻の稚子(わかこ)さんにみとられ、自宅で亡くなったという。

 テレビ、ラジオなどで評論家として活躍してきた金子さんが病魔との闘いの末、2日未明に他界した。所属事務所によると、金子さんは約1年前から腫瘍の一種、カルチノイドが肺に見つかり、治療を続けてきた。有効な治療法がない状態だったという。1カ月前から容体が急変。入退院を繰り返していたが、妻の稚子さんにみとられ、自宅で亡くなった。「家で最期を迎えたい」という金子さんの希望通りだった。

 「最期まで仕事を一生懸命やりたい」という本人の強い希望から、病身を押して、亡くなる直前まで仕事を続けていた。亡くなる前日1日も雑誌の電話取材を自宅で受けていたという。9月28日までにツイッターも更新していた。

 金子さんは08年ごろからテレビ、ラジオに登場。自ら編み出した商品の値切りテクニックや節約術、底値カレンダーなどを披露した。金子さん自身の造語の肩書「国際値切リスト」を名乗ったこともあった。豊富な知識とともに、舌足らずな語り口やマシンガントークも受けて、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」などのバラエティー番組や情報番組、ラジオ番組などの各メディアに多数出演した。

 太り過ぎが原因で呼吸量が減少するなどで、睡眠時無呼吸症候群と診断され、昨夏からダイエットを敢行。玄米と野菜中心の食生活で、今春までに体重を13キロ落とした。出演番組などでダイエット法を明かしていたものの、激やせぶりが話題になっていた。

 喪主は妻の金子稚子さん。通夜は4日午後6時から、葬儀・告別式は5日午前10時から、東京都港区の心光院で営まれる。

 ◆金子哲雄(かねこ・てつお)1971年(昭46)4月30日、東京都生まれ。あらゆるジャンルの流通過程を追い続ける流通ジャーナリスト兼プライスアナリスト。中小企業診断士の資格を持つ。94年に慶大卒業後、ジャパンエナジー(現JXホールディングス)を経て、コンサルタントとして独立。世界の行列店を取材、売り上げや利益を高める手法を情報発信した。著書は「『激安』のからくり」「『値切り』のマジック」など多数。

 ◆肺カルチノイド

 肺に出来る腫瘍。腫瘍を顕微鏡で調べるとがんに似た組織がみられるが、大半は良性腫瘍。自覚症状はなく、健康診断のエックス線で見つかることが多い。腫瘍の進行も遅いため、手術で腫瘍を摘出すれば治る。小腸、大腸、胃、膵臓(すいぞう)などの臓器に転移することが多いが、手術や薬物療法で症状を抑えることが出来る。発症率は10万人に1人という珍しい病気。