今月12日に東京都新宿区内でタクシーにはねられ重傷を負った若松孝二監督(76)が17日、搬送先の病院で死亡した。若松監督は連合赤軍を題材にした作品などで知られ、海外での評価も高かった。

 若松監督は12日午後10時10分ごろ、新宿区内藤町の都道を横断しようとしたところ、タクシーにはねられ、頭や腰を強く打った。現場は片側2車線の直線道路で、横断歩道のない場所だった。タクシーにスピード超過はなく、警視庁四谷署が事故原因を調べていた。同署によると、16日の段階では容体は安定していた。

 若松監督は独立プロダクションで映画製作を続け、08年「実録・連合赤軍

 あさま山荘への道程(みち)」で、ベルリン映画祭の最優秀アジア映画賞などを受賞。今年は「11・25自決の日

 三島由紀夫」でカンヌ、「千年の愉楽」でベネチア映画祭に参加した。10年にはベルリン国際映画祭に出品した「キャタピラー」で、主演した寺島しのぶが最優秀女優賞に輝いた。

 ベネチア映画祭では「死ぬまでに東電の原発の話を作りたい。本気でケンカしてやろうと思う」などと意気込みを語っていた。

 ◆若松孝二(わかまつ・こうじ)本名同じ。1936年(昭11)4月1日、宮城県生まれ。高校中退後、上京。62年に助監督で映画界に入り、63年、ピンク映画「甘い罠」で監督デビュー。代表作は「天使の恍惚」「キスより簡単」「寝盗られ宗介」など。