5日に亡くなった歌舞伎俳優中村勘三郎さん(享年57)の通夜が10日、東京・文京区の自宅で行われ、長嶋茂雄巨人終身名誉監督、尾上菊五郎、大竹しのぶら約700人が弔問に訪れた。「近親者のみの密葬」とされていたが、多くの人に愛された勘三郎さんだけに、通夜開始の午後6時前から弔問客が絶えなかった。中村吉右衛門、野田秀樹、江川卓氏、津川雅彦らが訪れ、一時は自宅前から約80メートルの長い列ができた。喪主の勘九郎・七之助兄弟は京都・南座公演中のため、好江夫人が応対した。

 かつて勘三郎さんと不倫騒動があった宮沢りえ(39)は午後4時15分ごろに訪れ、15分ほどで帰ったが、取材陣の呼びかけに無言だった。七之助の親友で嵐の松本潤(29)は「息子のようにかわいがってくれ、違う世界ですが、『みんな一緒だよ。頑張ろう』と言ってくれた。仕事やプライベートで相談に乗ってもらい、時にはしかってくれた」と声を詰まらせた。「何と声をかけたか」と聞かれると、「かけられませんでした」と涙をみせた。

 1階リビングに遺体を納めたひつぎが置かれ、「船弁慶」の舞台衣装が掛けられた。周りには大好きな赤ワイン「グラン

 エシャゾー」、好物のカレーライス、訃報を伝えるニューヨーク・タイムズも供えられた。遺影は09年の勘九郎の結婚披露宴で笑顔のタキシード姿の写真。枕花は300以上届けられ、海外公演を行ったニューヨーク、ルーマニアから弔電が寄せられた。今日11日午前11時から葬儀・告別式が自宅で行われる。

 ▼主な弔問客

 日枝久フジテレビ会長、山田洋次監督、中村嘉葎雄、篠山紀信、串田和美、坂東三津五郎、中村福助、渡辺えり、三田寛子、冨司純子、寺島しのぶ、尾上菊之助、水谷八重子、橋爪功、柄本明、岩城滉一、小日向文世、清元延寿太夫、鈴木京香、中村歌六、中村錦之助、古田新太、中村獅童、V6三宅健、蒼井優、生田斗真、生田龍聖、田畑智子、王理恵、尾上松也、市川団子、松たか子(順不同、敬称略)