<連載「気になリスト」(67)>

 女優伊藤梨沙子(17)は、清楚(そ)なルックスと幅広い演技力で注目されている。1月発売のmiwa(22)の新曲「ホイッスル~君と過ごした日々~」のMV(ミュージック・ビデオ)では、サッカー少年に恋する女子高生を爽やかに演じた。一方で、昨年11~12月に放送されたフジテレビ系の昼ドラマ「幸せの時間」では、柳沢慎吾(50)に下着姿のまま抱きしめられるなど、体当たりの演技で話題になった。

 女優を志したきっかけは、08年の映画「コドモのコドモ」への出演だった。メーンキャストの1人で、主人公の親友の学級委員長役を演じた。ロケ地の秋田県では、同年代の出演者と約3カ月間、共同生活をした。「親もいなくて、初めはずっと泣いていて。洗濯とかも自分たちでやるし、子どもだったからケンカもしたし。でも、すごく刺激になりました」。黒髪と黒目の大きな澄んだ瞳で1つ1つの質問に、真っすぐなまなざしで丁寧に答える表情は、まさに女子学級委員長のイメージで、その後も、「いい子」役でのドラマ出演が続いたという。

 だが、「幸せの時間」が転機になった。柳沢演じる父親の同僚との恋愛や、援助交際に走る中学3年生の少女を演じた。「もう、いっぱいいっぱいで…。初めての挑戦をたくさんさせてもらいました」。それでも、「恥ずかしくはなかったです。新しい自分を見つけられました。出来上がった作品を見たときは、『おばあちゃんになるまでお芝居をやっていたい!』って思いました」と、手応えをつかんでいた。

 今月から放送されているNHK開局60周年の60秒CMでは、架空の連続テレビ小説のヒロイン役を演じている。こちらは実に爽やかな表情を見せて、テレビ関係者から「若いのに演技に幅がある」と声が上がり始めた。もっとも、本人は「今度は本物の朝ドラに出たいです。ずっと狙ってます。去年、初めてオーディションを受けたんですが、道はまだまだ遠かった。もっと個性を磨かないと」と貪欲だ。「いい子」も「悪い子」も演じ分ける少女が、国民的ドラマのヒロインになる日は、そう遠くないかもしれない。【横山慧】

 ◆伊藤梨沙子(いとう・りさこ)1996年(平8)2月20日、東京都生まれ。小学4年だった05年、雑誌の読者モデルとして芸能活動開始。08年から2年間テレビ東京系「おはスタ」に「おはガール」としてレギュラー出演。小学3年から小学4年までは、新体操の練習に明け暮れるも、選手選抜に入れず挫折を味わったという。特技は側転、1輪車、水泳。156・5センチ。血液型A。(3月1日付

 紙面から)

 [2013年3月2日1時36分

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