<連載「気になリスト」(72)>

 平成生まれだが、懐かしい昭和の薫り漂う子役がいる。青木勁都(けいと=10)。鈴木福(8)主演の人気ドラマの映画版「コドモ警察」(福田雄一監督、20日公開)に出演した。特殊ガスを吸って子供になってしまった特殊捜査課刑事イノさんこと下山武雄(49)を演じている。ぽっちゃり体形が印象的だ。

 そのイメージ通り、かなり食いしん坊だ。撮影の思い出は「サービスエリアで牛串を食べたシーンが楽しく、おいしかった。2冠王です」。食への興味が探求心も育んだ。好物は卵焼きからイチゴに変わった。「イチゴは砂糖をトッピングすると少し味を変えることができる。おいしいものを求めている性格だと思います」。自宅近所の祖父の家に行くと、勝手に冷蔵庫を開けて卵焼きを作って食べているという。感心していると「太っている人は何でもできるんですよ」。

 芸歴は長い。デビューは生後4週目。生まれてすぐ母親が現在所属するテアトルアカデミーに新生児登録した。デビュー作は日本テレビ系火曜サスペンス劇場。いしのようこが演じたヒロインが出産した赤ちゃん役だった。

 太った体形を変えるつもりはない。「やせたらキャラが崩れる。『コドモ警察』が続く限り、太ってないと意味がない。今後も自分になるべく適した役がいいです。太っていて短気で食いしん坊。主役でも主役じゃなくてもいいです。選ばれればそれでいい」。

 仕事を離れるとオーラは消えているようだ。「うれしいことは学校で友達が集まってくること。休んだ次の日、2時間目終わりの休み中に『うわっ、青木さんいたの!?』って友達に言われた。影が薄いっぽい」。

 監督に「キャラのあるデブがいなくて『いいデブが来た!』とときめいた」と言わしめ、即起用が決まった。憎めないキャラクター。切り返しもこちらをうならせるほど絶妙。話していても黙っていても、強烈な存在感を放っていた。【近藤由美子】

 ◆青木勁都(あおき・けいと)2002年(平14)10月1日、東京都生まれ。ドラマはフジテレビ系連続ドラマ「全開ガール」「遅咲きのヒマワリ」、映画は「あしたのジョー」、CMはトヨタ「パッソ」やミツカン「おむすび山」などに出演。兄と弟がいる。142センチ、49キロ。(3月11日付

 紙面から)