【パリ5日(日本時間6日未明)=横山慧】アイドルグループ℃-ute(キュート)が、初の海外単独公演を成功させた。大物アーティストが公演を行ってきたライブハウスのステージに立ち、欧州各国から集まった熱狂的なファン約1300人を喜ばせた。結成から8年。欧州での人気を肌で感じたメンバーから「次はニューヨーク公演をやってみたい」という声も上がった。

 「キュート」コールが鳴りやまない。5人のメンバーは約2時間にわたった本編公演を終え、ステージを降りたが、アンコールを求める声援が場内に響いた。約8分間、300回以上も「キュート」の名前が繰り返し叫ばれた。メンバーが再登場すると大歓声が上がった。アンコール1曲目「青春ソング」ではファンもメンバーと一緒に右手に握ったタオルを振り回した。日本のファンの間でおなじみのパフォーマンス。タオルの代わりに着ていたTシャツを脱いで振り回すファンもいた。

 会場となった「La

 Cigale(ル・シガール)」は名門ライブハウス。これまでに英大物歌手デビッド・ボウイ(66)や、米人気ロックバンドのレッド・ホット・チリ・ペッパーズが公演を行っている。客席を埋めたのは、フランス人を中心に北欧も含む欧州各国のファンたち。男女比は半々で20~30代がほとんどを占めた。場内は開演前から熱気に包まれた。メンバーの萩原舞(17)は「取りあえず落ち着こうってみんなで言ってましたが、ものすごい掛け声で、完全に乗せられちゃいました」。

 クライマックスで「JUMP」を歌った時、最後のサビで鈴木愛理(19)が10回の連続大ジャンプ。岡井千聖(19)も「トランポリンみたいにジャンプ力が湧いてきた。『この感覚だ』って思いました」。国境を超えたファンの力に背中を押され、パフォーマンスにも力が入った。公演中は、フランス語であいさつしたり、アンコールの曲合間にはフランス語でしたためた手紙を朗読。「また来ます」と再会も約束した。

 単独公演は、フランスでCD販売を委託されている会社「Bishi-Bishi」の招聘(しょうへい)で実現した。パリ公演を記念するベストアルバムも既に発売されている。4日と6日には、市内で開催中のイベント「ジャパン・エキスポ」にも出演。文化交流にも貢献した。

 萩原は「いつかニューヨークのマディソンスクエアガーデンでライブがしたい」と言った。パリの熱気を肌で感じ、夢が大きく膨らむ一夜となった。

 ◆℃-ute(キュート)

 ハロー!プロジェクト・キッズに合格した15人のうち、04年結成のBerryz工房に加入しなかったメンバー7人で05年6月に結成。07年シングル「桜チラリ」でメジャーデビュー。同年レコード大賞の最優秀新人賞、NHK紅白歌合戦に初出場。メンバーの加入、脱退を経て現在は、矢島舞美、中島早貴、鈴木愛理、岡井千聖、萩原舞の5人組。平均年齢19歳。今月10日に初の両A面シングル「悲しき雨降り/アダムとイブのジレンマ」発売予定。9月9、10日に初の日本武道館公演を行う。