11年ぶりの日本公演の全日程を終えた英歌手ポール・マッカートニー(71)が22日、成田発ロンドン行きの航空機で帰国した。前日21日に最終公演を東京ドームで行ったが、疲れた表情も見せず、笑顔で搭乗口に姿を見せた。東京ドーム公演と大相撲九州場所に懸賞金を出したことを大々的に伝えた日刊スポーツ紙面を本紙記者が見せると「グレート!」「ベリーグッド!」と大喜び。ご機嫌の様子で機上の人となった。

 愛用品のバイオリンベースを手にしたポールが、成田空港の搭乗口に姿を見せたのは午前11時過ぎ。出発時間の直前だった。サングラスをかけ、黒いコートに同色のスラックスとシックな装い。空港職員ら10人以上が警護したが、ポールご一行はわずか数人だった。9日に関西空港に到着した際はチャーター機を利用したが、この日は民間機。来日時は関係者の求めに応じて法被姿でファンサービスに努めたが、この日は静かに日本を離れようとしていた。

 ところが、表情が一変する瞬間が訪れた。東京ドーム公演の様子と懸賞金や懸賞旗を写真入りで大きく報じた本紙紙面を見た時だった。本紙記者が示した22日付の紙面を指さしながら「グレート!」「ベリーグッド!」と大喜び。さらに「ポール・マッカートニーNEW発売中!」と新アルバムの告知がデザインされた懸賞旗の写真に目を留めると「スモウ、スモウ」と連呼した。

 大阪から福岡、東京と会場を移し、6公演で約26万人を動員した一大ツアーを成功させた。14日には福岡で念願の大相撲観戦も実現。そこで初めて知った懸賞も21日に出して大満足の滞在となった。楽しい思い出がよぎったのか、足取りは軽やかだった。

 見送りの日本側スタッフには「マタアイマショウ」と日本語で呼びかけて再会を誓った。フラッシュを浴びせていた本紙カメラマンに対しても「グッドモーニング。アリガトウ~」と手を振った。

 ステージ以外の場所での取材を好まないと言われるポールだが、日本ツアーに強い満足感を得たのか、疲れも見せず、充実感を漂わせる笑顔で飛行機に乗り込んだ。

 

 【近藤由美子】