虚血性心疾患で急死した「サザエさん」の磯野波平役などで知られる声優永井一郎さん(享年82)の通夜が2日、東京・青山葬儀所で営まれた。サザエ役の加藤みどりが弔問に訪れ、69年の放送開始から45年で迎えた突然の別れに「片足…地面が丸ごとなくなったみたい。スターティングメンバーでやってきた。やっぱり悲しい」と涙を流した。

 毎週木曜に当たり前のようにアフレコを続けて45年。加藤は永井さんの死を受け入れられなかった。最後となった1月23日は「普通に始まり普通に終わった。いつもと同じ。(死が)実感として来ない。こんな形で45周年が来るなんてどうしましょ。言葉になりません」。

 「サザエさん」のアフレコは試し録り1回を経てすぐ本番となるため世間話をする余裕もなかったが、永井さんはセリフが多い波平役を通じチームを引っ張ったという。年末年始のパーティーが数少ないだんらんの場だった。「本当に別れがあるなんて思わないから特別なものはない」。フネ役の麻生美代子は悲しみが深いのか、10分弱で弔問を済ませ、ハンカチで顔を覆い足早に立ち去った。

 今日3日の葬儀・告別式は加藤とカツオ役冨永み~な、ワカメ役津村まこと、タラちゃん役貴家(さすが)堂子が一家として別れの言葉を送る。【村上幸将】