ロックバンドT-BOLANが8日、大阪・オリックス劇場で19年ぶりとなる単独ライブを行い、2度目となる「活動休止」を発表した。ボーカル森友嵐士(48)の喉の障害で95年、同所公演を最後に活動を休止。99年の解散をへて12年に再結成したばかりだった。

 アンコール2曲目。会場を埋め尽くす約2400人のファンと、「いじけた視線を君に語るより光を見たい」の大合唱が終わると、森友が静かに活動休止を切り出した。「今回でT-BOLANとして1つのマルを付けます」。大歓声に包まれていた会場は一瞬にして大きな悲鳴に包まれた。「ヤダーッ」。その言葉を制するように「解散じゃありません。これからは、メンバーそれぞれがさらなる挑戦です」と続けた。

 この日はリベンジのステージだった。「離したくはない」「Bye

 For

 Now」などの大ヒットで人気絶頂だった95年ごろ、森友は原因不明の心因性発声障害に苦しんでいた。

 ツアー最終日の95年3月26日、同じオリックス劇場(当時・大阪厚生年金会館)での公演に医師からドクターストップがかかった。スタッフがステージ上で公演中止を発表すると客席から大ブーイング。森友らはスタッフの制止を振り切ってライブを強行し最後までやり遂げたものの、内容は不満だった。思ったような声が出ない。不完全燃焼感を抱えたまま4年後の99年に解散した。

 12年に再結成する前年。メンバー4人が集まって復活を誓った際、みなの口から出たのが中途半端に終わった19年前のラストライブへのリベンジだった。

 約3時間でグループの歴史を物語る27曲を奏で、ラストソングは「Smile」。ケジメをつけた森友がソロ活動に専念するなど、メンバーはそれぞれの道を前向きに歩む。公演はこの後、3月21日と4月26日の東京・渋谷公会堂へと続いた後でピリオドを打つ。【松本久】

 ◆T-BOLAN(ティー・ボラン)

 森友嵐士(ボーカル=48)青木和義(ドラム=47)五味孝氏(ギター=48)上野博文(ベース=48)の4人組ロックバンド。90年に結成し、91年7月「悲しみが痛いよ」でメジャーデビュー。「離したくはない」「じれったい愛」「Bye

 For

 Now」などが大ヒット。90年代前半を代表するバンドで、デビューから4年でシングルとアルバムで計1700万枚のセールスを記録した。

 ◆TーBOLANの歩み

 91年のデビューから4年後の95年3月のライブを最後に、森友の心因性発声障害による活動停止期間に入った。森友の回復を待ったがかなわず、99年に解散。やがて森友は徐々に回復していき、09年にソロでの音楽活動再開を発表。12年にはT-BOLANとしての復活を宣言し、同年秋からは所属事務所アーティストらと合同で全国19カ所でライブを実施。13年は充電期間にあて、今年19年ぶりに単独3公演を行い、再び活動休止に入る。