<連載「気になリスト」(67)>

 本格デビューから3年。女優中西美帆(25)が順調にキャリアを重ねている。

 昨年はNHK連続テレビ小説「純と愛」、大河ドラマ「八重の桜」や、映画「永遠の0」など間断なく出演。今年もドラマに映画と出演作が続き、今月は2本の社会派ドラマが放送される。東日本大震災と向き合ったNHK「生きたい

 たすけたい」(11日午後10時)では妊婦役、東京大空襲を描いたNHK「東京が戦場になった日」(15日午後7時30分)では消防官を演じる。

 「俳優に出来ることは、ドラマや映画を作って忘れずにいることだと思うんです。こうしたドラマに関わらせていただくことになり、役者として精いっぱいやろうと臨みました」

 20歳で芸能界に入った。10代女優が活躍する中、遅れを取り戻そうと1日1本の映画を鑑賞し、ある大物女優が「俳優は浅く広くやっていた方がいい」と話していたのを聞くと、新たな挑戦を決意。時代劇で役立つのではと乗馬に挑み、所作や着付けも出来るようにと日本舞踊を始めた。

 「何か役が来たときに、ちょっとでもそれを知っているのと知らないのでは全然違うと思うので」

 女優業に反対する両親との約束で調理師免許も取得している。

 「当時は遠回りしている感じがしたんですが、今となっては役者に無駄になることはないと感じています。いろいろな役を演じられる女優さんになるために今、頑張ろうって思えます」

 高3から約3年間は、横浜スタジアムでビールの売り子のアルバイトに精を出した。コツを覚えると常連が増え、1日で525本の売り上げ記録を作った。

 「一番上の席から手が上がれば階段を駆け上がっていきますし、雨の日は階段が滑るので転げ落ちたこともあります。いろいろあったけど楽しかったですね」

 根性と努力が自然と役を引き寄せている。

 「これからもいろいろな作品に出てみたいです。でも、今は目の前にあることを必死に一生懸命やるだけです」【今西孝江】

 ◆中西美帆(なかにし・みほ)1988年(昭63)12月5日、神戸市生まれ。高校時代は横浜ですごし、09年に東京誠心調理師専門学校を卒業して調理師免許取得。11年10月放送のNHKドラマ「神様の女房」で本格女優デビュー。日本舞踊は市川海老蔵の妹、市川ぼたんに師事。今夏には市川海老蔵、柴咲コウらと共演した映画「喰女-クイメ-」(三池崇史監督)が公開予定。