ももいろクローバーZが15日、女性グループとしては初めて、東京・国立競技場での単独公演を実現した。結成6年でたどり着いた夢舞台。身上とする全力での歌と踊りで約5万5000人の“モノノフ(熱狂的ももクロファン)”を酔わせ、昨夏に続いての横浜・日産スタジアム公演(7月26、27日)開催を発表した。国立での公演は今日16日も行われる。

 5人が聖火台に立った。デビュー当時、路上や家電量販店で歌っていた際に着ていた思いの詰まった桃色の衣装でそろえ、トーチをかざして点火した。燃え上がる炎を確認し、全長50メートルのジェットコースターでステージへ。女性グループとして初めての瞬間を目の当たりにしたモノノフたち…そのボルテージは一気に急上昇した。

 5人は目に涙を浮かべながら、インディーズデビュー曲「ももいろパンチ」を歌った。リーダーの百田夏菜子(19)が得意の「エビ反りジャンプ」で魅せた。1月に左すねを骨折した佐々木彩夏(17)も元気に踊った。高城れに(20)が、「五輪に負けないくらい、歴史的なライブにします」と宣言すると、さらに会場が沸いた。

 「いつか国立でライブがしたい」-。SMAP、嵐ら男性アーティストの4組しか立ったことがないステージ。少女たちは嵐の国立ライブのDVDを見て憧れた。11年2月19日には、東京・JR立川駅近くのショッピングセンター「フロム中武(ちゅうぶ)」屋上で国立の模擬ライブを開催した。立川と隣接する国立市とかけて、「国立川(こくりつかわ)ライブ」。その後、音程が外れても全力で歌い、踊るひたむきさが広く受けるようになり、モノノフが増えに増えた。

 12年大みそかにNHK紅白歌合戦初出場。リハーサルでは、国立競技場の北緯と東経を指す「35.678067、139.714894」と記したTシャツを着て思いを強めた。昨年8月には女性アーティスト初の日産スタジアム公演を実現し、満を持してこの日を迎えた。

 「国立川」から「川」が取れ、夢舞台を共有したモノノフたちには、サプライズ発表でも喜ばせた。新曲「泣いてもいいんだよ」(5月8日発売)を初披露し、同曲を中島みゆきが作詞、作曲したことを伝えた。ももクロライブの常連、松崎しげる(64)も登場。「愛のメモリー」の替え歌で2年連続の日産スタジアム公演開催を発表し、メンバーも驚かせた。

 約6万人動員した昨夏を上回る2日間計14万人動員を目指す。アンコールまで全26曲を歌いきった玉井詩織(18)は「これからもみなさんと一緒に見たことのないももクロの歴史をつくっていきたいです」。新たな夢に向けて、国立の夜空に「ゼェーット!」の声が鳴り響いた。【大友陽平】<ももクロ足跡>

 ▼08年春

 グループ結成。当初は東京・代々木公園けやき通りや秋葉原で週末にライブ。

 ▼09年8月5日

 「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。

 ▼10年5月5日

 「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビュー、オリコン週間ランキング3位。

 ▼同12月24日

 東京・新宿の日本青年館で初のホール公演。

 ▼11年4月10日

 ブルー担当の早見あかりがソロ転向のため脱退。グループ名に「Z」が付く。

 ▼12年8月5日

 史上最年少で単独の西武ドーム公演。

 ▼同12月31日

 NHK紅白歌合戦に初出場、翌13年1月1日に国立競技場を目標にすることを発表。

 ▼13年8月4日

 単独の女性アーティストとしては史上初の日産スタジアム公演。

 ▼同12月23日

 西武ドーム公演で国立競技場での単独公演開催を発表。

 ▼同12月31日

 2回目のNHK紅白歌合戦に出場。