女優藤山直美(55)が、一昨年11月に亡くなった女優森光子さん(享年92)の主演舞台「おもろい女」に主演することが8日、分かった。三回忌を終えた来年6月に東京・日比谷シアタークリエで上演される。森さんにとって「放浪記」に次ぐ代表作。戦前・戦後の上方で活躍した漫才師ミス・ワカナを主人公に78年に森さん主演で初演された。相方の玉松一郎役に芦屋雁之助(後に段田安則)が出演。06年までの上演回数463回は、2017回の「放浪記」に次ぐ。

 06年以降は上演されなかったが生前、「肉体的にもっともきつい作品」と話しており、関係者には「いい台本だから、残してほしい」と漏らしていた。

 遺志を受け、亡くなってしばらくして「おもろい女」上演企画が浮上した。主演候補に、12年初演の喜劇「ええから加減」で大阪の漫才師を好演した藤山の名前が挙がった。一郎役には渡辺いっけい(51)が決まった。

 森さんと藤山には、いくつかの因縁がある。「おもろい女」はもともと脚本家小野田勇氏が65年にNHKのドラマとして書き下ろしたもの。森さんが主演し、藤山の父、藤山寛美さんが一郎を演じた。当時6歳の藤山も中国人孤児の役で出演した。97年のドラマ「東京ものがたり」で森さんと藤山は、しゅうとめと嫁の役で共演している。藤山は舞台「おもろい女」も観劇している。今日5月9日生まれの森さんは初演時に58歳。来年6月の上演時に56歳の藤山にとって、森さんに続く大女優への1歩になる。【林尚之】