覚せい剤所持と使用の疑いで警視庁に逮捕された歌手ASKA(本名・宮崎重明)容疑者(56)の所属事務所、ロックダムアーティスツ(以下ロックダム)が今年に入り、大手芸能事務所に対し、身売りを持ち掛けていたことが3日、分かった。

 関係者によると、ロックダムの身売り話が浮上したのは今年に入ってからで、持ち掛けた買収額は7000万円。しかし、ASKA容疑者の逮捕もあり、完全に破談に終わったという。大手芸能事務所には、多くの人気女性タレントやモデルが所属。歌手も所属するなど、音楽業界にも進出している。一方で、ロックダムには、ChageとASKA容疑者以外の所属アーティストはいない。

 チャゲアスがロックダムを所属事務所としたのは、00年秋で、取材によると、同事務所は、「SAY

 YES」(91年)「YAH

 YAH

 YAH」(93年)といった大ヒット曲の出版権や原盤権は所有していない。ある音楽関係者は、その状況も踏まえて、交渉が破談になった背景を指摘した。「買う側も、ヒット曲の原盤権や出版権がなければうまみはない。コンサートなどの興行権を持っていても、チャゲアスが今後定期的にコンサートを開催する見込みは立たず、関連グッズも売れない。逮捕前でも、7000万円は条件的に高すぎる」。

 昨年、週刊文春でASKA容疑者の薬物疑惑が報じられたことを受け、所属事務所は文春の記者に無断で接触してコメントしたなどとして、本人と話し合った上でASKA容疑者の活動自粛を決めた。チャゲアスが実質的なオーナーだったことから、基本的に2人の承諾なしに所属事務所の身売り話を進めることは不可能。薬物疑惑報道後、今後の活動の見通しが立たないことから、ASKA容疑者も周囲も納得済みで、身辺整理に入ろうとしたとみられる。