多発性硬化症でリハビリ中の落語家林家こん平(71)が22日に都電貸し切りで「都電落語会」を行う。病に倒れて10年。まだ高座に上がれないが、レギュラー出演していた日本テレビ系「笑点」仲間の三遊亭小遊三(67)らが出演する。月1回、2020年の東京五輪・パラリンピックまで続ける予定で「高座に上がるまで頑張る」と誓っている。

 8月22日は10年前、こん平が多発性硬化症で倒れた日だった。その日が「チンチン電車の日」であることから、こん平の主催で都電荒川線を走る都電1両を貸し切り「都電落語会」を行うことになった。こん平はまだ高座に上がることはできないが、「笑点」の仲間だった三遊亭小遊三、三遊亭王楽、弟子の林家ぼたんらが出演。当日のオープニングセレモニーで、こん平は十八番の「一、二、三のチャラーン!」の掛け声で開会宣言。小遊三とトークショーを行い、都電に同乗して高座を見るという。

 都電落語会は今後も月1回行い、20年の東京五輪・パラリンピックまで続ける予定という。本番を前に、「チャラーン!」などとラッピングされた都電を見て回ったこん平は「きれいだね。みんなに感謝、感謝。(落語会が)楽しみです」と絞り出すような声で話した。

 04年8月22日、こん平は日本テレビ系「24時間テレビ37

 愛は地球を救う」の「笑点」収録に臨んだ。数日前から体調が悪く、本番は「チャラーン!」で笑いを誘ったが、直後に緊急入院。10月に特定疾患に指定される難病の多発性硬化症と分かった。脳や脊髄の神経細胞から電線のように伸びる突起を覆う髄鞘(ずいしょう)が壊れ、声が出なくなり、体が不自由になる病気で、すぐに治療が始まった。翌05年5月に退院したが、06年に「笑点」を降板し、弟子の林家たい平が後任メンバーになった。

 リハビリを続けているが、まだ声が出にくく、体も思うように動かない。しかし、好きな卓球のラリーが何十回も続くようになっている。今月30、31日の「24時間テレビ」では東京・日本武道館に駆けつけ、「笑点」メンバーとも生中継で再会するという。こん平は「いつか高座に上がれるように頑張る」と復活を誓っている。【林尚之】

 ◆林家こん平(はやしや・こんぺい)1943年(昭18)3月12日、新潟県長岡市生まれ。58年に初代林家三平門下に入り、林家こん平を名乗る。62年に二つ目昇進、72年に真打ち昇進。66年に「笑点」のレギュラーメンバーとなり、「チャラーン!」で人気者に。著書に「チャランポラン闘病記」がある。

 ◆都電

 東京都が運営する路面電車。最盛期は41系統、総延長213キロに及んだが、自動車の増加などで廃止され、現在は荒川区南千住の三ノ輪橋から新宿区西早稲田の早稲田まで12・2キロの荒川線だけが営業。1903年8月22日、新橋・品川間に路面電車が開通したことを記念し「チンチン電車の日」を制定。