8月29日に急死した大相撲元小結でタレントの龍虎さん(本名・鈴木忠清=すずき・ただきよ、享年73)は、亡くなる直前まで笑顔を見せていた。同31日、取材で判明した。29日午前、龍虎さんは、静岡県掛川市の事任(ことのまま)八幡宮の社務所で、同関係者と談笑したものの、その後、271段の階段で心肺停止に。死因は循環器疾患。心筋梗塞の疑いもあり、関係者はショックを隠せないでいる。

 龍虎さんは29日朝、妻の貴子さん(53)、長女珠子さん(21)長男規裕さん(20)を連れ、事任八幡宮を訪れていた。同関係者によると、龍虎さんは約3年前から参拝に訪れていたといい、日帰り家族旅行の当日もいつものように社務所に寄り、関係者と談笑。「お願いしたことが以前かなったので、お礼参りです」と話していたという。関係者が「お若く見えますね」と声を掛けるほど、元気そうだったという。

 その後、龍虎さん家族は、社務所から奥、271段の階段を上がったところにある社(やしろ)に向かって行った。山の上の方にあるので、4人とも携帯電話は社務所に置いていた。しばらくして、「父が倒れた」と珠子さんが慌てて下りてきたことで、社務所から救急通報。龍虎さんは、271段のほとんど上の方まで行った状態で倒れていたという。しかし、階段の途中のため、救急車は上がれず、救急隊員は駆け上がり、心肺停止の状態の龍虎さんにさまざまな手を施したという。

 掛川市消防局によると、救急要請は午前9時59分。掛川市内の病院に搬送後、龍虎さんの死亡が確認された。この状況を目の当たりにした関係者は「ほんのついさっき前まで本当にお元気そうだったので、亡くなったことが信じられません。とてもいいご家族でした」と声を落とした。

 家族旅行は日帰りの予定だったが、翌30日に貴子さんらは、龍虎さんの遺体とともに帰京。遺体は都内の病院に安置され、規裕さんが一晩、寄り添ったという。一夜明けたこの日正午すぎには貴子さんと珠子さんが買い物のため、車で外出した。大学4年で就職も内定している珠子さんは、龍虎さんのことを「亡くなって、近い存在に思えるようになりました。もっと話して、学ばせていただければよかったなと思います」と振り返った。