樹木希林(71)浜木綿子(79)加山雄三(77)が旭日小綬章を受章した。政府が3日付で14年秋の叙勲受章者を発表し、樹木らは芸術文化分野での活動が認められた。人気野球漫画「ドカベン」で知られる漫画家水島新司さん(75)にも旭日小綬章が贈られた。産業振興分野は、東京五輪招致委員会専務理事だった水野正人ミズノ相談役会長(71)が旭日中綬章を受けた。

 受章の知らせに樹木は「天災や人災、疫病の世の中で、どういう気持ちで受け取ればいいのか、ちょっと戸惑いましたね」と心境を明かした。しかし、別居する夫の歌手内田裕也(74)から「四の五の言わないでおとなしくいただけ」と言われ、素直に受けることに決めたという。

 TBS系ドラマ「寺内貫太郎一家」など、若いころから実年齢と懸け離れた老人が当たり役という超個性派だった。18歳で文学座に入団してから芸歴は50年超だが、「自分の中では若気の至りのまま」と笑う。

 10年ほど前に片目が見えなくなって絶望した時もあったが、病が転機になった。「それまで身過ぎ世過ぎでやってきたけど、世の中を俯瞰(ふかん)で見るようになり、大事に演じてみようかと」。その後、乳がんから13カ所に転移する全身がんとなったが、今年1月に放射線治療を終えてからは投薬治療もやめた。「(禍福は)あざなえる縄のごとし」「すべて成り行き」とひょうひょうと人生を語る。

 「役者は世の中の何かを自分の体を使って映し出すもの」が持論でもある。これまでの歩みが結実した受章に「親からいただいた命は、自分だけのものではないとあらためて思います」とほほ笑んだ。