日本を代表する俳優、高倉健(たかくら・けん)さん(本名小田剛一=おだ・ごういち)が10日午前3時49分に悪性リンパ腫のため都内の病院で亡くなっていた。83歳だった。

 高倉さんは、自分の映画やCMの出演料が高額であることにこだわった。CM1本で1億円と伝えられたこともあった。東映退社後にフリーになったころ、特に固執した。それには理由があった。「俳優という職業を社会的に認めてもらいたいから」。映画界に入ったころ「恥ずかしい仕事だと思っていた」というが「世の中で、まともな仕事と判断されるためには、それなりの報酬を得ているということが大事だと思っていた。だからこだわったね」。俳優の地位向上のため、出演依頼に首を縦に振らなかったこともあったという。「妥協したら、後輩たちのためにもよくないから」。映画界全体を見つめていた。