歌手泰葉(54)が3月4日に約6年ぶりの新曲CD「桜舞う日は」をリリースすることになり、日刊スポーツの取材に応じた。昨夏、「軽いうつ病」と診断され、「人と会うのも避けているけれど、歌う時は平気です」と告白。「桜舞う日は」は、母子の情愛を描いた曲で、母海老名香葉子さん(81)ら家族に支えられていることを感謝した。

 家族は昨年夏ごろ、泰葉の変調に気が付いた。口数が少なくなり、人と会うことを避けるようになった。心配した香葉子さんの勧めで病院で診察を受けたところ、「軽いうつ病」と診断された。

 泰葉は「そうじゃないかという気持ちもあった。人と会うと疲れるんです」と驚かなかった。薬を飲むなど治療を受けるが、診断後も歌ってきた。「歌っている時は楽しい。人前で歌うのは平気なんです」。かつてのヒット曲「フライディ・チャイナタウン」を歌う時は力強く、以前の泰葉に戻るという。

 1988年(昭63)に結婚した落語家春風亭小朝(59)と07年11月に離婚。その後、過激な発言が注目され、慣れない事務所経営で金銭トラブルに巻き込まれたこともあった。「いろいろな出会いがあり、経験もできた。人生の勉強もできたし、後悔はないです」。ただ、反省はあるという。「ちょっと、突っ走りすぎた」と振り返る泰葉に、香葉子さんも「若い時の穏やかで優しい泰葉が戻ってきた」と話す。

 部屋にこもることも多いが、弟たちの優しさに元気づけられている。林家正蔵がジャズライブに誘ったり、林家三平夫人の女優国分佐智子もおいしい手料理を作るなどフォローする。「家族に支えられている。本当に感謝です」。

 6年ぶり新曲「桜舞う日は」は、香葉子さんが45年の東京大空襲で亡くなった母と夢の中で出会い、涙を流した話を基にした。詞は母との共作で、「母にインスパイアされました。母子の情愛を描いた曲は初めてです」。

 3月9日に香葉子さんが主催する東京大空襲の追悼イベント「時忘れじの集い」(東京・上野公園)で、「桜舞う日は」を披露する。「戦後70年で、戦争を経験した人も少なくなった。平和への思いを伝えていきたい。ライブは一期一会で、大切に歌いたい。歌は私の人生です」。歌が前向きに生きる泰葉を後押しする。【林尚之】

 ◆うつ病

 気分障害の一種で、抑うつ気分、意欲や興味の低下、焦燥(しょうそう)などの特徴が見られる。最新の研究結果では、ある時点で35人から50人に1人、生涯の間には7人から15人に1人の確率でうつ病にかかるという。