石原プロモーションが5日、68年公開の映画「黒部の太陽」(熊井啓監督)ノーカット版(3時間15分)を44年ぶりに一般公開する「『裕次郎の夢』プロジェクト」を発表した。同版は2度イベント上映されたのみで、ビデオ&DVD化されていない幻の作品だ。「映画は大きなスクリーンで見てほしい」という故石原裕次郎さん(享年52)の願いを実現すべく、3月23日の東京国際フォーラムを皮切りに全国で上映会を開催。諸経費を除いた収益を東日本大震災の被災地へ寄付する。<黒部の太陽アラカルト>

 ◆実話

 原作は毎日新聞編集委員だった木本正次氏が、64年に同紙に連載した小説。徹底取材で積み上げた事実をベースにした「ノンフィクション・ノベル」という新ジャンルを確立。

 ◆破格の製作費、動員、興行収入

 カラー映画1本の製作費が3000万円弱だった当時、13本分の3億8900万円をかけた。大ヒットし、当時史上最高の733万7000人の観客を動員し興収16億円(現在の約72億円相当)を記録。

 ◆4億円超の協力

 全長200メートルの関電大町トンネルのセットは、愛知県豊川市の熊谷組工場につくられ同社が費用を負担し制作。ほか黒四ダム建設工事に関わった各社がブルドーザー、破岩機、ヘリコプターなどを提供し全面協力。それらの費用は4億円以上。

 ◆セット内の気温70度

 黒部の山小屋シーンの撮影は、設定が真冬にもかかわらず、真夏に三船プロのスタジオで行った。冷房がないセット内は70度を超え防寒着を着た裕次郎さん、三船敏郎さんらは4キロずつやせた。

 ◆豪華出演陣

 志村喬、佐野周二、高峰三枝子、辰巳柳太郎、宇野重吉、滝沢修、山内明、芦田伸介、樫山文枝、日色ともゑ、寺尾聡、大滝秀治らが出演。