全国約3300スクリーンの7割を占める大手シネコン10社が来年夏までに、デジタル上映の映写設備導入を完了する予定であることが21日、共同通信の調べで分かった。

 独立系映画館も既に半数近くが対応済みとみられ、急速に映画館のデジタル化が進んでいる。製作配給側や観客にメリットの多いデジタル化だが、フィルム上映の機会が減るほか、資金力に乏しい映画館の存続が厳しくなることから、映画文化の衰退を懸念する声もある。

 米ハリウッドの大手映画会社が主導するデジタル化は、撮影製作費や輸送コストの削減、海賊版対策などの面で優れ、世界各地で進んでいる。日本の大手シネコンでは、2年前にデジタル化を終えた「ティ・ジョイ」をはじめ、最大手の「TOHOシネマズ」も今年6月に完了した。

 しかし、専用のサーバーやプロジェクターの設置が必要で、映画館側は1000万円ともいわれる高額な費用負担が求められる。ハリウッド各社は1~2年後にフィルム配給をやめる見通し。デジタル未対応の映画館は導入するか否かの判断を迫られている。