「5万回斬られた男」として知られる名脇役、福本清三(71)が初主演した映画「太秦ライムライト」(落合賢監督)が、カナダで開催された第18回ファンタジア国際映画祭で、最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を満場一致で受賞した。両賞の日本作品と日本人の受賞は初めてで、福本は歴代最年長受賞者となった。

 同作は、15歳で東映京都撮影所入り以来55年間、斬られ役として主役を引き立ててきた福本が、太秦の撮影所を舞台に自分を投影したような老優を熱演。先月のニューヨーク・アジア映画賞でも最優秀観客賞を獲得するなど、国内外で高く評価されている。

 福本は受賞の報告を受け、「私が主演男優賞とは信じられません。ご選考くださった方々には失礼な話ですが、何かの間違いのように思われ、落ち着かない気持ちでいっぱいです」などと喜びを表現した。

 また、最優秀主演女優賞は映画「福福荘の福ちゃん」(11月8日公開、藤田容介監督)に主演の森三中・大島美幸(34)が受賞した。日本人女優では、09年第13回の満島ひかり以来。大島は現在、妊娠を目指して休業中だが、映画初主演の同作で、年齢=彼女いない歴32年の福田辰男を演じている。役作りのために丸刈りにしたことも話題で、大島は「びっくりしすぎて笑ってしまいました。男役なのに、女優賞。なんか不思議です」と喜んでいる。