池松壮亮(24)が助演男優賞に輝いた。今年8本に出演。「海を感じる時」で市川由衣、「ぼくたちの家族」で妻夫木聡ら主演を支える好演を見せた。「うれしいもんですね。こんな、名もなき男に」と喜んだ。

 「紙の月」は宮沢りえ演じるヒロインの不倫相手。「りえさんにどう突っ走ってもらって、どう輝いてもらえるか、全編通じて意識しました」。

 小5で俳優デビュー。学生時代は年間1~2本の出演だったが、大学卒業後、一気に増やした。「ここ2年、やれるだけのことはやりました。心と体のギリギリまでやったんじゃないかなと思います」。

 先月出席したエジプト・カイロ映画祭で衝撃を受けた。「みんな生きることだけを考えていた。生きるために物を売り、生きるために外国語を勉強する。自分もまだまだ日々勉強です。生きるためにいろいろなことを知り、独り立ちできるようにならなきゃ」。

 「紙の月」「愛の渦」「海を感じる時」で濃厚なラブシーンを演じた。「ちょっと脱ぎすぎました。来年からほどほどにします。でも、ぬれ場がある作品を見に来る人は、そういうのが好きで来ているんじゃないですか?」と笑った。来年については「もうちょっと、ゆっくりやりますけど」と答えたが、出演依頼は減りそうもない。【横山慧】

 ◆池松壮亮(いけまつ・そうすけ)1990年(平2)7月9日、福岡県生まれ。日大芸術学部映画学科で監督コース専攻。01年ミュージカル「ライオン・キング」で俳優デビュー。03年「ラストサムライ」で映画初出演。05年「鉄人28号」で映画初主演。08年「DIVE!!」など映画主演。172センチ。血液型A。

 ▼海を感じる時

 高校の新聞部の恵美子(市川由衣)は先輩の洋(池松壮亮)に部室で突然唇を奪われる。「ただキスをしたかっただけ」と距離を置く洋を、恵美子は「体の関係でもいい」と求め続ける。上京した洋を追って自分も東京へ向かう。安藤尋監督。

 ▼ぼくたちの家族

 母(原田美枝子)が脳腫瘍で余命1週間と宣告される。父(長塚京三)は取り乱し、長男(妻夫木聡)の責任感は空回り。平静を保つのは次男(池松壮亮)だけ。バラバラだった家族の心が母の病気を通じて1つになっていく。石井裕也監督。

 ▼助演男優賞・選考経過

 池松壮亮が圧倒的支持を集めた。「主演との距離感が押し付けがましくない。いい役者になる」(残間里江子氏)という意見や「大学では監督コースで勉強した」(寺脇研氏)と映画への姿勢も評価。阿部寛にも「吉永さんの温かさを際立たせた」(神田紅氏)と後押しの声もあったが、投票は池松が圧勝。