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新人賞

第18回を振り返る

沢尻エリカ、長沢と10代の時代

新人賞を受賞した沢尻エリカはプレゼンターの長沢まさみ(左)と握手を交わす(撮影・川口晴也)
新人賞を受賞した沢尻エリカはプレゼンターの長沢まさみ(左)と握手を交わす(撮影・川口晴也)

 映画も10代パワーが引っ張る-。第18回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が12月28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、「パッチギ!」で新人賞を獲得した19歳の沢尻エリカが、第17回新人賞の18歳、長沢まさみから記念盾を贈られた。今最も勢いのある若手演技派女優の初のツーショット。沢尻は「同じ世代の長沢さんと一緒に映画界を盛り上げたいです」と誓い、現在の日本映画界を支える若い力をアピールした。

 元気がいい10代の女優群の中でも別格の2人が、壇上で初対面した。長沢から沢尻に一生に1度しかチャンスがない新人賞の盾が手渡される。ともに上目遣いで手を握り合い、照れくさそうに笑った。やり取りは初々しかったが、その言動には既にスターだけが放つ独特の空気がただよった。

 司会者から「パッチギ!」の井筒和幸監督が「大器」と絶賛していると聞いた沢尻は「キャハハハー!」と大口を開け、会場をあぜんとさせ、笑わせた。その光景を見た井筒監督は「新人と思えないほど、腹が据わってるやろ。雰囲気や存在感は女優としてケチのつけようがないわ」と舌をまいた。

 女子ゴルフの宮里藍や横峯さくら、女子フィギアの安藤美姫や浅田真央…。若い力がスポーツ界を席巻しているが、映画界でも同じ現象が起きている。壇上の2人はその象徴的存在。現在、青春ものや若者の恋愛ものが企画されると必ず、どちらかが真っ先にヒロイン候補に挙がるほど、評価は群を抜いている。

 わずか1年でそこまで登り詰めたのが沢尻だった。初ヒロイン作「パッチギ!」で難役を演じきり、今回の選考会でも「沢尻の映画」と絶賛された。その後はオファーが殺到。10月から始まった初主演ドラマ「1リットルの涙」(フジテレビ)で実質的な茶の間デビューも飾った。

 同作も難病と闘う実在の女性という難役だったが、視聴率は初回の13・5%から徐々に上げ、最終回で20・5%までもっていった。ファンレターの数は10倍になり、沢尻も「反響が大きくて、演技をしてる実感がわきますよ」と喜びを隠せない。ドラマ前は男性が多かったファン層も、2対8と女性中心に逆転した。同性をあこがれさせる現象は「女優ではなく、人に影響を与える人間になりたい」という沢尻の夢がかないつつあることを物語る。

 井筒監督は「パッチギ!」の次回作構想に沢尻の名が1番に挙がっていることを認めた。沢尻は「もし本当なら喜んで出たい」と再挑戦を希望。出世作で放った輝きが偽物ではなかったことを実証した自信がうかがえた。

 その自信が、映画界全体を見渡す気持ちの余裕を生み、自覚も芽生えさせている。長沢とは面識こそなかったが、互いに影響を受けていた。長沢が「『1リットルの涙』を見て、透明感のあるすてきな女優さんだと思いました。縁があればご一緒したいです」と話していることを聞いた沢尻はこう答えた。「私は『世界の中心で、愛をさけぶ』を見て感激したんです。同年代だし、お芝居の世界を一緒に盛り上げていけたらいいですね」。2人の輝きが日本映画界に希望をもたらすはずだ。【木下淳】

[2005/12/29 紙面から]

沢尻(さわじり)エリカ
 本名同じ。1986年(昭61)4月8日、東京都生まれ。中学時代から雑誌モデルとして活躍。2002年、フジテレビ「ビジュアルクイーン・オブ・ザ・イヤー」受賞。ドラマは「桜咲くまで」「あいくるしい」「1リットルの涙」。映画は「問題のない私たち」「阿修羅城の瞳」などに出演。160センチ。血液型A。
「パッチギ!」
 1968年の京都。高校生の康介(塩谷瞬)は、朝鮮高校にサッカーの対外試合を申し込みに行き、キョンジャ(沢尻エリカ)に一目ぼれした。しかし彼女は、番長アンソン(高岡蒼甫)の妹だと分かる。そんな中康介は、引き裂かれた朝鮮半島の悲しみを歌った「イムジン河」という歌と出会う。日朝高校生たちの熱い青春を描いた感動作。


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