<哀川翔

 魂のアタリ!>

 6月1日から解禁となった千葉・外房の“夏ビラメ”に、「釣りは生きざま」と公言する俳優哀川翔(51)が挑んだ。昨年3月の東日本大震災で自宅が津波にのまれ、船を大破された飯岡「梅花丸」を訪ねた。今回は、特別にアジ&ハナダイもがっぽり釣り上げ、魚影の濃い豊かな海を堪能した。「すごい海だぜ、みんな飯岡に来てみろよ!」と翔アニキが熱いメッセージを残した。

 アニキがいつも気に掛けていたのが、昨年の東日本大震災で被災した沿岸部のことだった。東北地区ではないが飯岡も津波被害が甚大だった。梅花丸も自宅兼用の釣り宿が津波で全部なくなった。大型船も沈没した。それでも、6月1日からヒラメ釣りが解禁し、釣果が報告されている。その一報を耳にして「飯岡の夏ビラメ、待ってろよぉ~」とアニキは燃えていた。

 今回は、アジ→ハナダイのリレー船の間にヒラメ釣りを挟む特別船で出港した。メンバーはアニキとロックバンド175R(イナゴライダー)のボーカル、ショーゴ(32)、ヘアスタイリストの「ノブさん」こと柏村信雄さん(52)、ノブさんの愛弟子で「ブチ」と呼ばれる岩渕浩大さん(32)、ウェブデザイナー折坂聡彦さん(34)が集結した。

 飯岡は水深20メートル前後の浅瀬がはるか沖まで広がっている。さまざまな魚が集まり、生きエビで誘うハナダイは年間を通して狙えて、夏のヒラメもファンが多い。朝5時過ぎに出船し、太陽が完全に昇る前に8本バリ仕掛けでアジを釣った。いきなりアニキのサオがブルルンと震えた。巻き上げると8本全部に掛かっていた。「カラバリなのに釣れちゃうんだな。スゴいぜ」とアニキは興奮しながらアジを取りこんだ。

 このあと船中のあちらこちら「うわ~、全部にアジじゃん」「何で餌もないのにヒットするんだ」「船の下にいったい何匹いるんだぁ」と叫び声が止まらない。ノブさんも良型のカマスもあげて約1時間で船はアジだらけに。アニキは途中で10センチ前後の豆アジは海に逃がして、それでも94匹をゲットした。「このアジは脂が乗っていてうまいぞぉ~」とご機嫌だった。

 ところが、人生そんなにうまい話ばかりではない。生きたイワシを泳がせる本命のヒラメ釣りで苦戦した。船中1発目はショーゴ。サオがブルンと震えてサオを握ると、梅花繁船長(48)が「もうちょい待って。まだくわえてるだけだ。次に引き込まれたらサオを振り上げて」との忠告が飛んだ。アタリがきておよそ90秒…ギューン!

 すかさず合わせると、960グラムのグッドサイズ。「人生初のヒラメですよ。マジでうれしい」とショーゴは声を震わせた。

 この後、ブチにも900グラムのヒラメがきた。沈黙するアニキのサオにも反応が出て「おっ、ヒラメかぁ」と喜んだものの、ハリに掛かっていたのは丸まると太ったイナダだった。「いいさ、イナダもうまいからな」と肩透かしをくらったもののアニキは気を取り直した。

 さらには折坂さんには1・5キロのマゴチがヒットして、ショーゴとブチがそれぞれ2匹目のヒラメをキャッチした。「いい海だよ。水深20メートルで浅くて、初心者でも釣りやすいじゃねーか。面白いねぇ」とアニキがつぶやいたところで、最後のハナダイに切り替えた。

 ハナダイは生きたサルエビで狙う。3本バリ仕掛けだ。ここではアニキが初っぱなから飛ばした。尾までピンクのハナダイを次々に釣り上げた。「この鋭敏な引き込みは独特だねぇ。たまらないねぇ~」と絶好調。底付近を中心に狙ってみると、アニキの表情が一変した。「オイ、この引きはなんか違う魚だぞ?」。巻き上げるとなんと、820グラムのヒラメだった。

 「イワシじゃなくてエビでヒラメを釣っちまったよ」とアニキは高笑いだ。結局、ハナダイも船中で150匹以上釣り、正午までの釣りで大満足だった。

 5月28日から17トンの大型船が1隻増えて、2隻での営業となった。今月下旬には新しい釣り宿も完成する。飯岡の海を堪能したアニキは「魚影が濃いよ。それに魚が元気だね。また、サオを出したくなる海だよ。飯岡の海はもう全開だな」と太鼓判を押して、再訪を約束して「よっしゃ、大漁だぁ」と自らハンドルを握って港をあとにした。【構成・撮影

 寺沢卓】

 ▼宿

 日刊スポーツ新聞社指定「梅花丸」【電話】0479・57・2145。午前4時集合の午前便のほかに午後便もあり。アジ&ハナダイは9400円、ヒラメ釣りは午前便だけ。ひとつテンヤのマダイ釣りも出漁中。今月24日から8月31日まで「復興キャンペーン」と題して、乗船者全員を対象にプレゼントが当たる抽せん会を行うので、ご期待ください。