国会は先週閉会。国政は7月10日投開票の参院選へと突き進む。そんなとき、ある週刊誌が先日、1人区で5人の女性候補が立った選挙区の応援で「顔で選んでくれたら1番」と演説した議員が、今度は別の選挙区の応援で党の関係者の出自や出身地域にふれた。「これは差別の拡散につながるのでは」とコメントを求めてきた。どの発言にもあきれるし、もううんざりだ。

この週刊誌は前号で自民党の吉川赳議員(40)が18歳の女性に酒を飲ませてホテルに誘い、現金を渡したと報じている。売春防止法違反は明らかなのに、自民党は離党させただけ。国会は犯罪者に議員バッジをつけさせたまま閉じてしまった。

今回の選挙でも女性議員の倍増が大きなテーマだが、こんな議員に辞職を迫ることもなく、セクハラ衆院議長の不信任案が否決されると中途半端に立ち上がって拍手していた女性議員は、一体何なんだ。

そんなしらけムードのなか、早くもメディアでささやかれているのが前回48・8%と過去2番目の低さだった投票率がもっと下がるのでは、ということだ。

だけど下火にはなったとはいえ、行政の無策で900万人が感染、3万人が命を落とした新型コロナ。平均賃金は30年間据え置きなのにハネ上がる物価。ロシアのウクライナ侵攻で倍増、世界3位となる国防予算。

目の前にこれほど問題が山積しているのに、しらけていていいのだろうか。永田町では早ければ年内にも、という解散風が吹き始めているという。だが制度上、今回の選挙が終わると、国政への思いを1票に託せる機会は2025年参院選までない。ゆめ棄権している場合ではないのである。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。