★この選挙の争点とは何か。09年の民主党による政権交代がピークだったように思うが、マニフェストなる政策集が選挙の幅を利かせた時期があった。各党が衆院選を政権選択選挙と位置づけ、国民の生活の細部までの国家像を示したものだ。しかし民主党はそれで政権を取ったものの罪作りなことをした。政権が欲しいために耳に優しい政策を列挙して国民の期待値だけを高くした。

 ★政権奪取後、実現の合理性を野党やメディアから問われ、民主党はあっさりそれが国民の期待に応える腰だめの数字だったことを認め、明日にでも実現しそうな話をほごにした。民主党の失敗は「政権にあり続ける限りすべての公約を実現する努力をしていく。単年度にこだわらず歯を食いしばってでも国民の期待に応える」としなかったことだ。公約に予算措置や時間軸などの実行力を加えたマニフェストは期待と信頼に応えない政党の失敗として国民に刻まれた。

 ★今回の選挙の争点は消費税の凍結や原発の是非、憲法改正などが各党から公約として挙がるが、いずれもふわっとしたスローガンに近い。党内議論が詰められたというより、有権者によりキャッチーに伝わるようにしたのかもしれない。この衆院選挙から18歳にも投票権が与えられたが彼らが学校の授業料問題に敏感に反応していることを見ても、大きなテーマとともに国民生活、それも雇用や給料、社会保障や年金など日々の生活に直結するテーマに関心が強いようだ。各党は序盤から中盤、終盤と戦術を変えてくるだろう。国民の不安に応え、閉塞(へいそく)感を打破する政治を示してほしい。(K)※敬称略