★10日の自民党大会であいさつした党総裁(首相)安倍晋三は憲法改正について「立党以来の悲願に取り組むときが来た。皆さんと決意を誓い合いたい」とし、憲法9条への自衛隊明記の意義について「都道府県の6割以上が新規隊員募集への協力を拒否している悲しい実態がある。この状況を変えよう。違憲論争に終止符を打とう」と演説した。同日、元防衛相・石破茂は「憲法違反なので協力しないと言っている自治体を私は知らない」とした。

★身内の会合でなら受け入れられるとばかり憲法問題に触れた首相だが、その環境づくりは全くと言っていいほど進んでいない。カウンターパートナーである立憲民主党憲法調査会長・山花郁夫との協議は進んでいない。1日、自民党憲法改正推進本部長・下村博文は日本記者クラブで会見し、憲法改正に関して「教育無償化など、9条よりも先に他党とまとまれるテーマがあれば、早く発議すべきだ」と言い出した。

★つまり憲法改正問題を自民党の原点にまで引き戻した。「これは憲法改正推進本部最高顧問・高村正彦の差し金だろう。政権は統計不正すらかわせるかどうかもわからない状態。党大会前に状況を説明したのだろうが、現実は何を改正するか、いつのタイミングかの議論の前に本当に改正できるのかまで後退している」(自民党ベテラン議員)。

★つまり現実は何が何でもやりたいができるのかという下村の発言通り。首相の演説もアリバイ作りでしかない。無論、参院選までは公明党も無理、野党は安倍政権での改正には反対。このままだと安倍後まで持ち越されてしまう。「参院選後からオリンピックまでの間のタイミングで一気に仕掛けたいがこればっかりは何とも言えない」(自民党中堅議員)。憲法改正は近年では一番失速しているといっていい。(K)※敬称略