3連休の中日、山あいの静かな集落で悲惨な事件が発生した。神戸市北区の無職南部達夫さん(83)方で16日早朝、南部さんが刃物で刺されるなどして倒れているのが見つかり、間もなく死亡した。妻観雪(みゆき)さん(83)が室内で、近所に住む辻やゑ子さん(79)も自宅で死亡しており、兵庫県警は、包丁を持っていたとして銃刀法違反の疑いで、近くの神社にいた南部さんの孫で無職の竹島叶実(かなみ)容疑者(26)を現行犯逮捕した。付近では容疑者の母親ら、けが人2人も見つかった。

 関西の奥座敷・有馬温泉近くの山あいの集落にサイレン音が響いた。南部さん方から「誰か来てくれ」と110番通報があったのは16日午前6時20分ごろ。警察官が駆け付けると、玄関先で南部さんが首や胸に刺し傷がある状態で倒れていた。妻の観雪さんは背中を刺され、室内で見つかった。約50メートル離れた駐車場では、辻さんが首を切られて倒れているのが発見された。

 3人はその後死亡が確認され、さらに付近で2人が負傷しているのも見つかった。県警は、近くの神社で血が付いた包丁(刃渡り約16センチ)や金属バットを持っていた南部さんの孫の竹島容疑者を発見し、銃刀法違反で現行犯逮捕。調べに対し「誰でもいいから攻撃しよう、刺してやろうと自宅の包丁を持っていた」と供述しているという。

 竹島容疑者は自宅で家族を襲った後、路上に出て辻さんらを死傷させたとみられ、兵庫県警捜査1課は南部さんに対する殺人容疑で、17日にも再逮捕する方針。

 けがの2人は、容疑者の母親のパート竹島知子さん(52)と、近くに住む無職の前北操さん(65)。命に別条はないが、知子さんは全身に打撲を負った状態で見つかった。金属バットで殴打されたとみられる。現場では警察官に「息子にやられた」と話し、南部さんと容疑者がもみ合っているのを止めに入ろうとして暴行されたという。

 南部さん方は夫婦と知子さん、竹島容疑者の4人暮らし。かやぶき屋根が特徴的な住宅は、市登録有形文化財でもあるという。近所の男性によると、阪神・淡路大震災後に知子さんが息子を連れて実家に帰ってきたという。男性は容疑者について「祖父母宅に住むようになったのは小学校のときから。高校に通う姿は何度か見たが、最近はまったく姿を見なくなった」。殺害された南部さんとは親しかったが「孫の話を聞いたことはない」と話した。

 また60代の男性会社員は事件直後、両手に刃物とバットを持って歩く男と遭遇したといい、「無我夢中で逃げた。振り返るとぞっとする」とおびえていた。