アルミニウム製品などの性能データを改ざんしていた神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は12日、経済産業省で記者団に対し「国内と海外で疑わしい事例が網にかかっている。複数の案件がある」と述べた。関係者によると、不正が疑われる新たな案件は全てアルミ・銅事業で見つかった。これまでに発表したものとは別の製品で同様の偽装が行われていた可能性があるとみて調べている。

 新たな不正が確認されれば問題製品の供給先は約200社から増加し、事態はさらに深刻化する。米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)などの海外企業も影響調査に乗り出した。川崎氏は、問題製品の納入先から損害賠償を求められる可能性もあるとした。安全性の検証を終えた段階で進退を含め経営責任を判断する。

 関係者によると、新たな不正が疑われるのはアルミ製品や銅製品。具体的な製品などは明らかになっていない。現時点では、鉄鋼製品や機械製品で不正は見つかっていないという。川崎氏が近く記者会見を開き、詳細を説明する予定だ。

 神戸製鋼は2週間程度をめどに安全性の検証結果をまとめ、1カ月以内に原因と対策を公表する。川崎氏は「神戸製鋼の信頼はゼロに落ちた。信頼回復に努めたい」と語った。同氏が問題発覚後に公の場に姿を見せたのは初めて。

 この日、川崎氏は経産省の多田明弘製造産業局長と面会して「顧客や消費者にご心配をお掛けし、深くおわび申し上げる」と謝罪。多田氏は「日本の製造業全体の信頼に関わる問題で誠に遺憾だ。重く受け止めている」と応じた。神戸製鋼のデータ改ざんは昨年のステンレス製品に続く不祥事で、納入先が多く社会的に影響が大きいと指摘。早期の原因究明と再発防止策の策定を求めた。

 神戸製鋼のアルミ・銅事業の売上高は鉄鋼に次ぐ規模で、成長の柱に位置付けている。国内では古河スカイと住友軽金属工業が経営統合したUACJに次ぐ2番手だ。今月8日にはアルミ製品約1万9300トン、銅製品約2200トン、アルミの鋳造品や鍛造品約1万9400個でデータの改ざんが見つかったと発表していた。

 このほか鉄粉製品や、子会社のコベルコ科研(神戸市)が手掛けている液晶画面材料でも同様の偽装が判明している。(共同)