地球の歴史に「千葉時代」が誕生する。国立極地研究所は13日、77万~12万6000年前の時代をラテン語で千葉時代を意味する「チバニアン」と名付ける申請が国際地質科学連合の1次審査を通過したと発表した。審査は4次まであるが、過去に結論が覆った例はほとんどなく、来年にもチバニアンが正式決定する。地質年代に日本の地名が付くのは初めて。

 通過したのは国際地質科学連合の作業部会の1次審査。イタリアの2カ所との投票になったが、チバニアンは60%以上の票を集め、1回で決着した。

 地質学の中心は地中海のため、地質年代は恐竜が絶滅した白亜紀以降、グリーンランドの氷床にある1万年前を唯一の例外として、すべて地中海沿岸の地層から名付けられてきた。今回もイタリア南部のモンタルバーノ・イオニコ(年代名イオニアン)が名乗りを上げたことから、極地研と茨城大の日本チームは「五分五分では負けてしまう」(岡田誠茨城大教授)として、綿密にデータを補強。6月に申請していた。

 チバニアンと名付けられるのは地磁気の最後の逆転が起こった中期更新世(77万~12万6000年前)。ジャワ原人、北京原人らの原人やマンモスが生き、その後、ネアンデルタール人、現生人類ホモ・サピエンスが出現した時代だ。千葉県市原市の養老川沿いの崖で見つかった地層はN極とS極の向きが逆転した跡が良好な状態で残り、年代の境界を示す地層「国際標準模式地」にふさわしいとして、2013年から準備を進めていた。

 岡田教授は「当時の環境が分かる海洋化石(海中の微生物の化石)、花粉など、イタリアチームに比べても遜色のないデータを集めた。77万年前の地磁気の逆転が地層からはっきり分かることが特に評価されたと思う。努力してきたかいがあった」と喜びをのぞかせた。

 今回通過したのは作業部会の1次審査だ。今後、第四紀小委員会、国際層序委員会、国際地質科学連合執行委員会と3回の審査があるが、結論が覆された例はほとんどなく、来年中には正式に決まるとみられる。岡田教授は「何の変哲もない崖にある地層だが、多くの人、特に子どもたちに地学に関心を持ってもらえる良い材料になる」と話している。

 ◆国際標準模式地(GSSP) 約46億年の地球の歴史は気候変動、生態系などから115の地質年代で区分される。国際地質科学連合は、時代の境界が分かる代表的な地層を世界から1つ選び、国際標準模式地としている。選ばれると、その地名にちなんだ時代名を命名できる。現在まで66カ所が指定されているが、大半が欧州で日本にはない。

 ◆地磁気の逆転 現在、N極は南極にS極は北極にある(方位磁針のNが北を、Sが南を向くのはこのため)が、過去360万年の間にNとSの向きは11回逆転している。最後の逆転が起きたのは77万年前で、市原市の地層は地磁気の逆転が起きたことがはっきり読み取れる。なぜ逆転が起こるかは分かっていないが、地磁気の逆転が起こると、宇宙線が増え、気候変動が起こったり、生物の突然変異が起こりやすくなるとされる。