西日本豪雨で被害が迫った5日夜、安倍晋三首相や自民党議員ら約50人が宴会を開き、会員制交流サイト(SNS)に写真を投稿していたことに批判が高まっている。参加者には多数の死者が出た広島選出の岸田文雄政調会長や、翌6日に死刑執行を控えた上川陽子法相も。首相は外遊を中止し「豪雨優先」を強調して失点回避に躍起だが、識者は「長期政権のぬるま湯に漬かり、たるみきっている」と批判した。

 東京・赤坂の衆院議員宿舎。酒杯を傾けて写真に納まる首相。「赤坂自民亭」と呼ばれ、毎月1回開かれる懇親会だ。竹下亘総務会長や岸田氏の他、数時間後、自衛隊に災害派遣が要請された小野寺五典防衛相も笑顔で首相を囲む。

 画像をツイッターに載せた議員の一人、西村康稔官房副長官は会の趣旨を「党幹部と若手議員のざっくばらんに話す懇親会」とし気さくな写真も撮り放題とつぶやいた。

 別カットには談笑する首相と岸田氏が写っており、両者が地元の地酒を持参。首相の地元山口の「獺祭(だっさい)」と岸田氏の地元広島の「賀茂鶴」を前にした多くの議員が「『どっちを飲むんだ??』と聞かれ、一瞬戸惑いながらも、結局両方飲んでました」「いいなあ自民党」との記載があった。

 その頃、京都市は8万人以上に避難を指示。気象庁は5日未明、大阪府北部地震の被災地などに土砂災害警戒情報を出し、昼には緊急記者会見で西日本での豪雨に警戒を呼び掛けていた。その後、被害は6~7日に西日本一帯に拡大。山口県岩国市の獺祭の蔵元も被災、一升瓶約90万本の製造に影響するとみられる。

 2001年に実習船「えひめ丸」が米原子力潜水艦に衝突された事故で、当時の森喜朗首相が一報を受けつつゴルフを続けたことが批判を浴び退陣の一因になった。安倍首相は失点を避けようとしたのか、欧州や中東への外遊を取りやめ、被災地の岡山県の視察を決定。菅義偉官房長官も9日の記者会見で「対策は講じてきた」と強弁した。

 だが西日本の被災県選出の自民党議員は「あきれて何も言うことはない」と突き放していた。

 上川氏は3日にオウム真理教の松本智津夫元死刑囚らに対する執行命令書に署名したと明かしており、異例の大量執行を命じながら酒宴に興じていたことになる。

 ジャーナリスト大谷昭宏さんは「首相を含め、どうして誰も『中止にすべきだ』と言えなかったのか。国民の皮膚感覚とあまりにかけ離れている」と指摘している。(共同)