ロシアのプーチン大統領は12日、極東ウラジオストクでの東方経済フォーラムで、安倍晋三首相に対し、一切の前提条件を抜きにして今年末までに日ロ間で平和条約を締結するよう求めた。さらに「その後、全ての係争中の問題を解決しよう」と呼び掛け、北方領土問題を事実上先送りする姿勢を見せた。

菅義偉官房長官は12日の記者会見で、10日の日ロ首脳会談では提案はなかったとした上で「北方四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する日本の方針に変わりはない」と述べ、要求は受け入れられないとの認識を示唆。プーチン氏の真意は不明だが、日本政府高官はロシア側に抗議や意図の確認は「しない」と明言した。

プーチン氏は中国の習近平国家主席らも出席した同フォーラム全体会合の討議で発言。安倍氏が条約締結を強く迫ったことに反発し、異例の発言となった可能性がある。プーチン氏は「今、この案を思い付いた」と説明したが、「冗談で言ったのではない」とも訴えた。

さらに、平和条約締結後に色丹島、歯舞群島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言について、日本と旧ソ連の両国が批准したが、「この宣言の履行を日本側が拒否した」と指摘。平和条約妥結の実現にはこうした原点に立ち返る必要があるとの認識を表明した。

一方で、領土問題解決に時間がかかることを認め「だからこそ島を巡る問題の解決に向けた環境を良くするため、安倍首相と共同経済活動の実施で合意した」と語った。

モルグロフ外務次官は12日、ロシアメディアに対し「条約締結交渉は既存の外務次官級協議の枠組み内で行う」とし、「われわれは準備ができている。日本側がいつ準備できるかにかかっている」と述べた。(共同)