南米ブラジルで28日、現職テメル氏の任期満了に伴う大統領選の決選投票が実施され、過激な発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれる自由社会党の右翼ジャイル・ボルソナロ下院議員(63)が左派フェルナンド・アダジ元教育相(55)を破り、初当選を果たした。任期は来年1月1日から4年。

中国、ロシアなどと共に新興5カ国(BRICS)の一角を占める南米の大国ブラジルにもポピュリスト(大衆迎合政治家)の指導者が誕生することになり、世界経済や多国間主義に与える影響が注目される。

元軍人のボルソナロ氏は1964~85年の軍事政権時代を称賛、「(息子が同性愛者だったら)事故で死んだ方がましだ」など同性愛者や女性、黒人らへの差別的発言で知られる。閣僚に多数の軍人を登用する意向を示しているが、軍政復活は否定した。

外交では日本をはじめ米国や欧州など先進国との関係強化を志向。経済・財政政策では、国営企業の民営化を推進し財政規律を重んじる新自由主義派エコノミストを財務相に起用する方針だ。

大統領選は汚職撲滅や治安回復などが争点。これまで汚職疑惑とは無縁で、犯罪抑止へ軍の活用や市民の銃所持を訴えてきたボルソナロ氏は28日、「政治や宗教、思想の自由は基本原理だ。自由の擁護者として市民の権利を守る政府を率いる」と述べ、勝利宣言した。

2016年8月に労働党のルセフ大統領(当時)が国家会計を粉飾したなどとして上院に罷免され、選挙を経ずに中道テメル政権が発足。過去4回の大統領選で勝利してきた労働党は、収賄罪で収監中の元大統領ルラ被告の代わりアダジ氏を立てたが、汚職や財政悪化の負のイメージがつきまとい、今回の選挙では同党拒否と右傾化支持の民意が示された。(共同)