ノーベル賞授賞式のためスウェーデンを訪れている本庶佑・京都大特別教授は7日午後(日本時間同日夜)、ストックホルムのカロリンスカ研究所で記念講演し、がんの免疫療法がさらに広がり「2020年代か30年代か分からないが、いつかがんを制御できるようになるだろう」と述べた。

医学生理学賞を共同受賞するジェームズ・アリソン米テキサス大教授に続き、授賞理由となったがん免疫療法を巡る「獲得免疫の驚くべき幸運」と題して講演。

本庶氏は講演を「大変光栄」とした上で、1970年代からあった免疫の働きを用いたがん治療の研究が難航したのは「免疫のブレーキ役となるタンパク質が分かっていなかったのが原因だった」と紹介。「ブレーキを離して、アクセルを踏むことでがんが治療できると考えた」と話した。

70年代の米国留学後、一度かかった病気にはかかりにくくなる獲得免疫の研究を深めていった。

90年代初頭に、免疫を担うT細胞の表面にあるタンパク質PD1を発見。その後の研究で、PD1は免疫が働き過ぎないようにするブレーキの役割を持っていることが判明。ブレーキがかからないようにすれば、免疫が異物であるがん細胞を攻撃し、増殖を抑えることも確かめた。

苦労したがん治療薬への応用は、米国のベンチャー企業と日本の小野薬品工業が開発を担った。米国と日本での治験では驚くべき成果が上がり、2014年に治療薬オプジーボが承認された。

10日の授賞式を前に行う記念講演は、ノーベルウイークの主要行事。本庶氏は出発前の記者会見で「準備で一番大変だった」と語っていた。(共同)