日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)=会社法の特別背任罪などで追起訴=が自ら使途を決められる日産の積立金から、特に重視していたサウジアラビアなど中東3カ国の販売代理店などのほか、アラブ首長国連邦(UAE)やカタールの代理店にも「奨励金」名目で支出していたことが12日、日産関係者への取材で分かった。日産社内では、3カ国への資金提供が注目されないよう「カムフラージュに使われた可能性もある」との指摘が出ていた。

東京地検特捜部は各国への捜査共助を要請しており、中東への支出の実態解明を進めている。

ゴーン被告は2009~12年、個人的な投資を巡り信用保証に協力してもらった知人のサウジアラビア人実業家、ハリド・ジュファリ氏の会社に、UAEの日産子会社「中東日産」から計約12億8400万円を不正に支出させたとして追起訴された。原資には、最高経営責任者(CEO)だったゴーン被告が使途を決められる「CEO積立金」が充てられた。

日産関係者によると、積立金は当初、ジュファリ氏側だけに支払われていたが、その後、ゴーン被告の別の知人が経営に関与するレバノンとオマーンの販売代理店も対象となった。オマーンには計約35億円、レバノンには計約17億円が支出されたとみられる。

ゴーン被告はサウジなど3カ国を重視していたが、社内で「販売成績が優秀なUAEに出さないのはおかしい」との指摘が出たため支出先に追加した。関係者は「理由を言われず、ただ払えと言われた」と証言。カタールにも支出されたが、長くは続かなかったという。

別の関係者は「奨励金なのに目標が設定されていなかった。後付けの理由でゴーン被告の決めた先に支払っていると思っていた」と話した。

日産の中東担当部署では、CEO積立金の送金リストを作成。ジュファリ氏ら重要人物を「フレンド・オブ・ゴーン(FOG)」と呼んでいた。(共同)