安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、天皇陛下による謝罪で慰安婦問題が解決するとした韓国国会の文喜相議長の発言に関し、韓国側に抗議するとともに謝罪と撤回を求めたことを明らかにした。

河野太郎外相も「到底受け入れられない。極めて無礼な発言だ」と非難した。韓国が聞き入れる見通しはなく、冷え込んだ日韓関係が続くのは確実だ。

慰安婦問題解決を確認した2015年末の日韓合意に反する言動について、日本政府は今後も韓国で繰り返される可能性が高いとみて動向を注視している。官邸や外務省では「文在寅政権と距離を置かざるを得ない」(官邸筋)との見方が広がっている。

政府によると、抗議は外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が議長発言直後の8日、在日韓国大使館幹部に伝達。9日にも長嶺安政駐韓大使がソウルで韓国外務省の趙顕第1次官に申し入れた。韓国側の反応は明らかにしていない。

12日の衆院予算委員会で首相は「発言を読んで、私も本当に驚いた。甚だしく不適切な内容を含み極めて遺憾だ」と不快感を表明。菅義偉官房長官は会見で「わが国の厳しい立場を強く申し入れている。誠意ある対応を注視したい」と述べ、韓国政府の対応を見守る考えを示した。

歴史問題に絡めた韓国要人の天皇謝罪要求は過去にもある。12年には、訪韓したければ天皇は心から謝罪すべきだと発言した当時の李明博大統領に野田政権が抗議し、摩擦に発展した。文議長発言についても、日本政府は「関係悪化に拍車を掛ける」(外務省筋)と見ている。

文議長は米ブルームバーグ通信とのインタビューで、慰安婦問題について、天皇陛下による謝罪の「一言」で問題が解決するなどと述べた。陛下を「戦争犯罪の主犯の息子」とも表現した。(共同)