韓国政府は23日、長嶺安政駐韓大使をソウルの外務省に呼び、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄決定を通告した。協定は11月22日に終了する。長嶺氏は厳重に抗議した。安倍晋三首相は官邸で「国と国との約束を守るよう求めていきたい」と述べ、元徴用工訴訟問題の解決策を示すよう、重ねて求めた。

破棄をめぐっては、韓国政府の決定の背景に文在寅大統領による、最側近の「スキャンダル隠し」の見方も出ている。9日に法相候補として発表されたチョ・グク氏で、文氏の主席秘書官も務め、対日強硬派の代表格だが、名門・高麗大への娘の不正入学疑惑が浮上。他の家族にも疑惑が出ており、野党や保守メディアが連日批判。保守系の東亜日報は、協定破棄は「国内の政治的判断も作用したのではないかとの疑念が湧く」と報じた。

最新の文氏の支持率は5月中旬以降初めて、不支持が支持を上回り、チョ氏の問題も再燃。「保身」を優先して安全保障体制を軽視した形の文氏は、国内的、国際的にも孤立しつつある。

韓国大統領府関係者によると、7月末までは政府内で協定を継続すべきとの意見が多数だった。破棄決定前日の21日にも、国防相が国会で「(協定の)戦略的価値は十分にあると見ている」と答弁。しかし日本政府に不信感を持つ文政権が、トップダウンで破棄を決めた可能性がある。

一方、韓国政府高官は23日、破棄の理由は、日本が輸出規制を強化する一方、元徴用工問題で対話提案に応じなかったためと主張した。韓国政府には米国も不信感を強めており、ポンペオ国務長官は22日、「失望している」と明言、異例の不快感を示した。