韓国軍は10日、北朝鮮が同日朝、内陸部の平安南道价川付近から東に向けて短距離の飛翔(ひしょう)体2発を発射、最大330キロ飛行したと発表した。弾道ミサイルかどうか分析を進める。北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)第1外務次官は9日夜、米朝実務協議に9月下旬にも応じる用意があると表明。非核化交渉の主導権を握るため硬軟両様で仕掛けた形だ。

日本政府によると、日本の領域や排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイルの飛来は確認されていない。岩屋毅防衛相は防衛省で記者団に「北朝鮮はたび重なる発射により関連技術の高度化を図っている。これを深刻な課題と捉え、警戒監視態勢に万全を期したい」と述べた。

韓国軍合同参謀本部によると、発射は10日午前6時53分と7時12分。北朝鮮は米韓が8月に実施した合同軍事演習などに対抗し、7月下旬以降、短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、今回は8回目で8月24日以来。トランプ米大統領は短距離ミサイルの発射を容認する姿勢を示しており、北朝鮮は軍備増強を続ける構えだ。

崔氏は米朝協議の具体的な場所や日時は今後決めるとしており、米側は北朝鮮の動向を見極めながら調整を進めるとみられる。トランプ氏は9日、ホワイトハウスで記者団に「何が起きるか見てみよう」と述べた。

崔氏は9日夜の談話で、9月下旬ごろ、米国との「包括的な討議」に応じる用意があるとし、「わが国が受け入れ可能な考え方に基づいた代案を持ってくると信じたい」と強調。米側が従来の立場と変わっていなければ「朝米間の取引はこれで幕を下ろすこともあり得る」とけん制した。

金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は8月上旬にトランプ氏に宛てた手紙で、米韓演習終了後に協議したいと記していた。ただ、北朝鮮側から非核化に向けた譲歩案を示すとは考えにくく、米朝協議が再開しても実質的な進展につながるかどうかは見通せない。

金正恩氏は2月の米朝首脳再会談で寧辺の核施設廃棄と引き換えに国連安全保障理事会決議に基づく広範な経済制裁の解除を要求、米側がこれに応じず決裂した。(共同)