来年の憲法改正を再三表明してきた安倍晋三首相にとって、11日の内閣改造は自民党総裁として最後の任期の総決算と言える。

しかし、専門家からは「スケジュール的に無理」「改憲にやる気を見せるのは政権浮揚のためのポーズだけ」などと実現を疑問視する声が上がっている。

「困難でも必ず成し遂げる」。首相はこの日、記者会見で改憲実現に意欲を示した。しかし衆参両院で確保していた改憲勢力は、7月の参院選で国会発議に必要な3分の2議席を割り込んだばかり。東京大の牧原出教授(政治学)は「なぜ今までできなかったのに、まだ改憲を言うのか」と首をかしげる。

2017年5月3日の憲法記念日。首相は改憲派集会へビデオメッセージを寄せ、9条への自衛隊明記案を披露し「20年を新しい憲法が施行される年にしたい」とぶち上げた。今年の憲法記念日にも20年改正を再表明。しかし、参院選前の6月、21年9月の党総裁任期までに、と発言するなど揺らぎもうかがえる。

牧原氏は国政の日程と自民党の「本気度」に目を向ける。「即位の礼、国際関係、五輪などやることが多すぎて、政権に改憲の余裕はないだろう」と分析。この1年間、党憲法改正推進本部長は首相側近の下村博文氏だったが、野党が憲法審査会での議論に消極的として「職場放棄だ」と発言し、謝罪に追い込まれた。牧原氏は「優秀な専門家やスタッフを集めているようにも見えなかった」と指摘する。

「憲法審査会は民主党政権時代の方が定期的に開かれていた。国民投票法改正の見通しも立っていない。今のペースで20年改正は現実的に無理だ」と断じるのは、シンクタンク「国民投票広報機構」の南部義典代表。間に合わせるための通常国会延長や参院選後の国会召集がなかったためだ。

南部氏は「政権浮揚や政権安定のため改憲を利用しているように見える。『やってる感』を出しているだけ」と話した。(共同)