ノーベル文学賞は昨年、選考主体の関係者による性的暴行疑惑を機に受賞者発表が見送られる歴史的失態に見舞われた。失墜した信頼の回復が急務となる中、選考委員会は受賞者選びの過程でも「変化」を図るとし、これまでの欧州や英語圏の出身者や男性作家への偏重を改め、広く門戸を開く考えを強調していた。

世界を揺るがす醜聞の発端となったのは、選考主体であるスウェーデン・アカデミーの会員だった女性詩人の夫による複数の女性への性的暴行やセクハラ疑惑だった。

2017年末に地元紙が報じると、妻から夫への文学賞受賞者の事前漏えい疑惑まで浮上。アカデミーの内紛に発展し、会員が相次いで辞表を提出するなど収拾がつかなくなり、18年の受賞者発表が見送られた。

危機感を抱いたアカデミーは終身制だった会員規則を変更し、選考委に外部有識者を加える改革を断行。受賞者発表の再開にこぎ着けたが、選考自体の透明性や公平性を高め、さらなる信頼回復につなげたい考えだ。

文学賞受賞者は今回を含め116人となるが、このうち女性はトカルチュクさんを含めて15人にとどまる。受賞者の大半は欧州や英語圏の出身者だ。

選考委のオルソン委員長は10日の発表を控えてノーベル賞の公式サイトで見解を表明し「これまでの選考は欧州中心で男性優位だった」と率直に認めた。その上で「今後はもっと世界中に目を向ける。女性にも多くの偉大な作家がいる」と続け、より広範な視野に立って受賞者を選ぶ必要があるとの考えを示していた。(共同)