ノーベル化学賞に決まった旭化成名誉フェローの吉野彰さん(71)が16日、理事長を務める大阪府池田市のリチウムイオン電池材料評価研究センターで記者会見し「産業界の研究者でも、世界が認める結果を出したらノーベル賞を取れるという刺激を与えられたのでは、と自負している」と話した。

吉野さんは毎週水曜日に同センターで幹部会議に出席、参画する企業から出向している若手研究者からの報告も聞く。この日は受賞決定後、初めて訪れ、玄関で職員から出迎えと花束の贈呈を受け笑顔を見せた。

会見ではセンターでの活動について、若手との議論が面白いと明かし「研究者は生データから離れるとさびてしまう。私は、今は自分の手で実験データを出すことはできないが、若手が出してくるデータに触れることでさびないようにしてくれる」と笑った。

大阪府吹田市出身の吉野さんにとって、受賞決定後、最初の大阪“凱旋(がいせん)”となった。旭化成入社後は東京に引っ越したが「研究には剛と柔の両方が必要。まあ、なんとかなるわいなという、自分の柔の部分は大阪の気質だと思う」。思い出を聞かれると、府立北野高(大阪市)在学時に淀川沿いのマラソンを走ったことを挙げ「ランナーズハイを初めて経験した。しんどいだけではないのが、研究開発と似ている」と振り返った。

吉野さんはスマートフォンやノートパソコンなどに使われるリチウムイオン電池の基本構成を確立するなど実用化に大きく貢献し、米国の大学教授2氏と共同受賞する。(共同)