豊橋市図書館(愛知県)は6日、江戸時代の私設図書館「羽田八幡宮文庫」に所蔵されている史料の中に、織田信長が家臣の筒井順慶に家来の動向を探るよう命じた朱印状や、朝鮮出兵の目的を記した豊臣秀吉の書状など5点を確認したと明らかにし、報道陣に公開した。

市は、筆跡や花押などから信長や秀吉らが家臣に命じて書かせた本物と認定。市図書館の岩瀬彰利専門員は「日本史上の重大な出来事を伝えており、文庫に貴重な史料が集まってきたことがうかがえる」としている。

史料は江戸時代末期にかけて当時の吉田藩の家老らが文庫に奉納し、現在は豊橋市の羽田八幡宮が所蔵する。

信長の朱印状は石山本願寺攻めの際に起きた家臣の反乱を受けた指令書。秀吉の書状は宇喜多秀家ら3戦国大名に明国を攻める野望を明かしている。

ほかに、徳川家康が上杉景勝に宛てたとされる書状や、室町幕府2代目将軍足利義詮の直筆とみられる文書なども確認された。

5点以外にも、鎌倉時代後期の後二条天皇が詠んだとみられる和歌の一部など3点の文書が見つかっており、市図書館は作成者の特定などを引き続き進める。

調査に当たった愛知大の山田邦明教授(日本中世史)は「信長の朱印状からは当時の武将たちの動きや緊張感が伝わる。一方、家康の書状は『鷹狩りに使う鷹を差し上げます』とほのぼのとした内容で、大名同士の普段の付き合いの様子をうかがい知ることができる」と説明した。(共同)