台風19号の影響で、特別養護老人ホーム(特養)や認知症グループホームなど高齢者が入所する7都県の26施設がいまだに復旧できず、他施設などへ避難していることが12日、厚生労働省のまとめで分かった。入所者の受け入れ先探しに苦労したり、体調が悪化したりするケースもある。12日で台風上陸から1カ月。避難生活が長引く中、介護や介助が必要な高齢者の生活をどう守るかが大きな課題となっている。

避難が続いている施設は福島5、栃木6、群馬1、埼玉3、東京1、長野7、静岡3で、いずれも浸水被害を受けた。厚労省は他の施設で入所者を受け入れるよう自治体や関係団体に求めている。

東日本大震災でも多くの高齢者施設が被災。その後、茨城県が高齢者らが利用する福祉施設を対象に、条例で「地域住民や他施設との協力体制構築」を努力義務と規定するなど、災害時の連携を模索する動きもある。

福島県浅川町の認知症グループホーム「ふくじゅそう」は、平屋の施設が約1・5メートル浸水。入所者18人と職員は避難して無事だったが、ホーム復旧の見通しは立たず、複数の施設へばらばらになった。何カ所も移動を重ねた人もおり、体調を崩したり認知症の症状が悪化したりして、3人が入院。うち1人が入院先で亡くなった。

埼玉県川越市の特養「川越キングス・ガーデン」でも、近くの越辺川(おっぺがわ)の堤防が決壊し施設が浸水、一時孤立した。入所者は現在、別の特養施設に分散。このうち1人は避難先で老衰のため亡くなった。施設は20年前の台風でも床上浸水したため、移転を検討している。

同志社大の立木茂雄教授(福祉防災学)は「高齢者を分散して避難させることも考え、複数の施設と協定を結ぶべきだ」と指摘する。「災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、訓練したり職員が知恵を出し合ったりして実効性を高めることも大切。命を預かっていることを重く受け止め、災害時に危険なエリアにある建物は移転するなど、根本的な対策が必要となる」と話した。(共同)