青森県弘前市に「忍者屋敷」と伝わる古民家が立つ。現存する忍者屋敷は全国でも珍しいが、管理費負担などから所有者が手放すことを決め、買い手の意向次第では取り壊される恐れが出てきた。忍者に詳しい地元の研究者は「新たな所有者が保存を前提にしてくれたら」と気をもんでいる。

屋敷は、弘前市役所近くの狭い路地の奥にひっそりとたたずむ平屋。青森大(青森市)忍者部顧問の清川繁人教授によると、江戸時代後期に建てられ、弘前藩の忍者集団「早道之者」の詰め所だったとされる。

9月下旬に開かれた見学ツアーには、県内全域から約20人が参加。参加者は、盗み聞きのため床の間の壁裏側に設けられた隙間に入ったり、足音で侵入者を察知する「うぐいす張り」の床を踏み「ギシ」という音を立てたりして「忍者は本当にいたんだな」と実感していた。

屋敷は約30年前から青森市の会田秀明さん(83)夫妻が管理してきたが、税金負担や除雪の手間がかかることから売却を決めた。清川教授は3年前に忍者屋敷と結論付けて以降、文化財として保存するよう弘前市に要望してきたが、増改築されていたことなどを理由に難色を示されたという。

清川教授は「忍者が実際に活動拠点とした貴重な建物だ。多くの人に知ってもらい、何とか活用できないか検討したい」と話している。(共同)