深刻さを増す地球温暖化に対処するため、9月に米ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、日本政府が安倍晋三首相の演説を要望したが国連側から断られていたことが、分かった。二酸化炭素(CO2)の排出が特に多い石炭火力発電の推進方針が支障になったという。主催したグテレス国連事務総長は開催に先立ち「美しい演説ではなく具体的な計画」を用意するよう求めていた。

複数の政府関係者が共同通信に明らかにした。それによると、国連側は事前に各国の首脳にサミット出席を呼び掛けた。日本は、安倍首相が演説し、6月に議長を務めた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の結果を含めて報告したい意向を伝えて協議したが断られた。

石炭火力発電の利用を推進しているほか、温室効果ガスの排出削減目標の引き上げや、引き上げに相当する新たな取り組みを発表できないことが理由だったという。ある関係者は「発展途上国での石炭火力発電建設に資金援助を続けていることも影響したようだ」と語った。

日本は6月、温暖化対策の長期戦略をまとめた。今世紀後半のできるだけ早期に排出を実質ゼロにする目標を掲げたが、具体的な時期は示さなかった。策定過程で石炭火力発電の「長期的な全廃」案が示されたが、産業界出身の有識者委員の反発で「依存度を引き下げる」と後退した。

気候行動サミットでは、演説した首脳らの多くが、2050年までに排出を実質ゼロにする目標や、再生可能エネルギーの導入拡大、途上国への資金援助増額などを表明。世界に広がる若者の抗議活動を背景にスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)も演説し、抜本的な対策強化を迫った。

日本は小泉進次郎環境相が出席したが演説の機会はなく、存在感を示せない結果に終わった。(共同)