レバノンに逃亡した前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(65)が勾留中だった昨年2月に弁護側が東京地裁へ保釈を請求した際、東京地検が反対した上で、被告の保有資産を百数十億円と推計し、保釈する場合は「少なくとも数十億円の保証金を設定すべきだ」と主張していたことが8日、関係者への取材で分かった。弁護側は検察が主張するような資産はないと反論。地裁はこの時、地検の要求を大幅に下回る10億円の保証金で初めて保釈を認めた。

ゴーン被告はプライベートジェットや複数の協力者を活用するなど、逃亡に多額の資金を投じたとみられる。地検は警視庁と連携して入管難民法違反容疑などで捜査しており、資金源の解明も進める。

地検は8日、被告が使っていたパソコンを差し押さえるため、被告の弁護人を務める弘中惇一郎弁護士の東京都内の事務所に赴いたが、弁護側は拒否した。弁護団は「弁護士の守秘義務に鑑み、刑事訴訟法に基づく押収拒絶権を行使し、帰ってもらった」とコメントした。

ゴーン被告は8日(日本時間同日夜)、ベイルートで記者会見を予定している。

会社法違反(特別背任)や金融商品取引法違反の罪で起訴されたゴーン被告は弁護団を一新。新たな弁護側が昨年2月28日、保釈を請求した。

関係者によると、地検は保釈に反対する意見の中で、ゴーン被告個人の資産は現金や株式、金融商品などを合計して百数十億円に上り、保証金を数十億円以上にしなければ逃亡を抑止できないと主張した。

しかし、弁護側は「現金資産は少なく、数億円が適切だ」などと反論して、裁判所も追認。10億円と設定して保釈を認め、ゴーン被告は昨年3月6日に保釈された。

ゴーン被告は昨年4月4日、オマーンの販売代理店に支出された日産の資金を還流したとして、再び逮捕、勾留された。改めて保釈された際の保証金は5億円にとどまり、計15億円だった。

地裁は逃亡を受けて、昨年12月31日付で保釈を取り消す決定をし、15億円全額を没取した。

東京地検特捜部は7日、捜査段階の証人尋問で虚偽の証言をしたとして、偽証容疑で妻キャロル容疑者(53)の逮捕状を取った。(共同)