中国の習近平指導部は11日、台湾総統選で独立志向の与党、民主進歩党(民進党)の蔡英文総統が過去最多の得票で再選したことに神経をとがらせた。国務院(政府)台湾事務弁公室の報道官は同日夜「いかなる台湾独立のたくらみや行動にも断固反対だ」と強調した。

中国は台湾を譲れない「核心的利益」と位置付け、「一つの中国」原則を掲げて統一を目指しているからだ。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は11日、総統選を受けた社説で「台湾社会には既に独立できないとの集団意識が形成されている」と蔡氏をけん制。同紙英語版は9日、中国当局者が「祖国統一は誰が勝利しても避けられない流れだ」と警告する記事を載せ、予防線を張っていた。

中国が警戒する背景には「一国二制度」下の香港で続く抗議活動がある。習国家主席は昨年、共産党独裁下で「高度な自治」を認める一国二制度による統一を台湾に呼び掛けたが、蔡氏は拒否する姿勢を鮮明にした。

NHK海外放送が11日夜、蔡氏の勝利宣言のほか、開票速報で蔡氏が他候補をリードしている状況などについて報じた際には中国では画面が真っ黒になり、放送が中断された。午前のニュースでも蔡氏が「台湾の民主主義をより強くしてほしい」と投票を呼び掛けた内容が遮断されており、中国共産党と政府にとって不都合な情報が国民に伝わらないよう規制したとみられる。(共同)