自民党の河井克行前法相の妻、河井案里参院議員の昨年7月の参院選をめぐる公職選挙法違反事件で、一部の車上運動員が、報酬の法定上限額の倍額を受け取ったと、広島地検の任意聴取に説明していることが15日、関係者への取材で分かった。

関係者によると、1万5000円の上限額の倍額に当たる、3万円を受け取ったと説明している。案里氏の秘書が、違法報酬の支払いに関わったとみられる。地検はこの日、公選法違反の疑いで広島市にある夫妻の事務所を家宅捜索した。地検は立件に向けて押収資料を分析、夫妻の関与も慎重に調べるとみられる。

夫妻をめぐっては、選挙カーでアナウンスする車上運動員13人に、日当として法定上限額を超える3万円を支払った疑惑があるほか、案里氏が支部長を務める自民党支部が、陣営の一員として選挙運動をした男性会社員に、約86万円を支払った疑惑も出ている。

前法相の事務所が家宅捜索対象となる前代未聞の事態に、自民党内でも夫妻の説明責任を求める声が拡大。というのも、河井氏は昨年10月31日に法相を辞任した際、「調査して説明責任を果たす」と言ったものの、2カ月以上、雲隠れ中。昨年の参院選で初当選した案里氏も国会に姿をみせておらず、昨年末、適応障害で約1カ月の自宅療養が必要とする診断書を自民党幹部に提出。国会議員として、国会で仕事をしない中、その間の歳費だけは支払われる理不尽な状態が続いているためだ。

自民党の中谷元・元防衛相は会合で「政治家は自らの疑惑は自ら潔白を証明しないといけない」と指摘。石破茂元幹事長も「『潔白だ』と言っているのだから説明は当然だ」と突き放した。菅義偉官房長官も会見で、夫妻に関し「自らの行動について、説明責任を果たす必要がある」と述べた。

一方、立憲民主党の安住淳国対委員長は、自民党の森山裕国対委員長と会談。終了後の取材に、カジノ汚職事件も念頭に「逮捕者が出たり事情聴取を受けたり、家宅捜索されたりしている。戦後、こんなことはなかった」と述べた。その上で、20日の通常国会までに十分な説明がない場合、予算などの審議日程に影響すると、自民党側にくぎをさした。