新型コロナウイルス感染が確認された東京都内の70代のタクシー運転手が乗った屋形船。船でアルバイトをしていた70代男性も感染していた。「袖が触れ合う距離」の船内でウイルスが広がった疑いが強まる。当時の様子を知る関係者は「感染力が強いとは聞いていたが、ここまでとは」と驚き、不安な表情を浮かべた。

1月18日夕、1隻の屋形船が都内の桟橋を出発した。都や関係者によると、個人タクシー組合の新年会が開かれ、運転手や家族、船の従業員ら100人近くが乗船。平均気温3・8度、雨も降る寒空だったが、船内は温かな笑顔に包まれていた。

客は幾つかのグループに分かれてテーブルを囲み、隣席とは袖が当たるほどの距離に。70代のアルバイト男性ら従業員が合間を縫うように給仕に回り、天ぷらや刺し身に舌鼓を打ちながら会話を楽しんだ。

後日、参加者のうち約10人が発熱などの症状を訴えた。アルバイト男性は新年会の数日前に中国・武漢の旅行者を接客したという。70代運転手は13日に死亡した80代女性の義理の息子だ。新年会に参加していないタクシー組合従業者の50代女性も感染していた。

乗船者は全員が検体検査の対象となり、医療機関は「結果が出るまで外出は極力控えるように」と要請。市中感染の懸念も広がる。50代女性は2月4日に嘔吐(おうと)などの症状が出たが、7日まで電車で移動し勤務を続けていたという。(共同)