中国広東省の個人が3月、日本の特許庁に「AINU」を商標登録出願していたことが3日、同庁の開示資料などで分かった。アイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業が今年予定されるなど、アイヌ民族への関心が高まりつつある中、一部のアイヌからは「便乗商法ではないか」などと反発の声が上がっている。

開示資料によると、スマートフォンケースやパソコンのマウスといった商品の商標として出願。出願人は中国広東省深■(■は土ヘンに川)市の個人名となっており、2日時点で審査待ちとなっている。特許庁は「商標法に基づいて判断する」とした。

アイヌ文様などを使った商品開発の監修や相談窓口を担う「阿寒アイヌコンサルン」(北海道釧路市)の広野洋理事長は「民族を利用した金もうけだろう。国を挙げて反対してほしい」と憤る。

国内の出願代理人は取材に「中国の個人から現地の特許事務所を介して依頼があった。特定の民族を想定したかは分からないが、心情を害するのであれば特許庁が却下するだろう」と話した。

昨年5月施行のアイヌ施策推進法はアイヌを「先住民族」と初めて法律で明記し、民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るとしている。

菅義偉官房長官は3日の記者会見で「一般論として、公序良俗に反する出願は商標としては登録されない」と説明し、慎重に審査されるとの見解を示した。

菅氏は「特許庁で商標法に基づき適正に審査が行われると承知している。個別の審査結果について予断を持たせることは不適切だ」とも述べた。(共同)